東彼杵の線を描く、色鉛筆画家 MATSUSHIMA Rieko

色鉛筆で東彼杵の線を描く女性

私が初めて、色鉛筆画家と聞いたとき、正直どういった絵を色鉛筆で描くのだろうかと想像がつかなかった。というのが正直な感想です。ネットで色鉛筆画家と検索とすると、写真に近いほどリアルな描写をし、いかに細かに線を表現するのかということに焦点があてられた作品が多かった。これはこれでものすごい描写でありどれも引けを取らない絵の数々。そんな中、松島さんの色鉛筆画は、そのような描写とは全く違った異彩を放っている。

松島理恵子さんの独特の世界観

東彼杵町千綿地区に住み自然と暮らし、色鉛筆で一本一本丁寧に線を重ねていく絵を描き続けるのは東京は北千住出身の松島理恵子さん。松島さんは2011年、東日本大震災をきっかけに長崎県に移り住んだ移住者でもある。そんな移り住んだ町、東彼杵町はそのぎ茶を主幹産業として持つ町でもある。特に15世紀に釜煎りによる製茶法が西九州に伝えられると、東彼杵町で盛んに栽培されるようになり、その後、元禄年間(1688~1704)に大村藩主の奨励によって栽培が拡大し、茶業の基礎が作られた。茶産業は、輸出に端を発し今日の発展を見せている。その立役者となったのが「大浦お慶」さんである。お慶は「そのぎ茶」等を大量に買い付けてアメリカ・ヨーロッパに輸出した史実があり、江戸時代誰も考え付かなかった日本茶の輸出を成功させた長崎の女傑である。そんな大浦お慶さんを礼賛し、長崎県では「大浦お慶プロジェクト」という事業も実施されていました。そのプロジェクトでも事業を手がけるなど、現代の大浦お慶とも呼べる女性であり、活動的な方もでもある松島さん。そんな、松島さんの人柄は、活動的な舞台にいながらも、話してもらえたら伝わりますが、どう考えても「東彼杵の人っぽい」なぜだか親近感の湧くお人柄だと私は思う。その松島さんが描く色鉛筆画は、前述したような絵とは異なり、独特の世界観を持つ。

そんな松島さんが生み出す色鉛筆の世界観はどうやって培われているのだろうか。同じ東彼杵町に住みながらも、松島さんの頭の中は計り知れない。

時折、松島さんと話していると千綿渓谷の話が出てくる。

以下、松島さんのブログより引用
長崎県、東彼杵町を横切る「千綿川」の渓谷、千綿渓谷は、またの名を「龍頭泉峡」と呼びます。江戸時代から儒学者・広瀬淡窓より、龍の身体と呼ばれ48の滝・淵に名前がついた千綿川。

以前、松島さんは、「滝の上美術館」という千綿渓谷、龍頭泉峡の「白木淵(シラキブチ)」と言う名の滝の上に建つ美術館を運営していた。建物は築およそ70年の元旅館「白龍仙」。空家時代を経て、龍頭泉の主こと、故田中正秀さんの手にかかり、大々的改修の末、作家・小崎侃さんの「侃美術館(カンビジュツカンン)」として開館されておりました。

そんな渓谷の麓で美術館を運営し、渓谷に流れる水の音や、差し込む光、風のにおい。自然と流れゆくあらゆる空気感をそこで味わっていたからこそ描ける「色の音」を表現しているのではないかと私は思い、まるで、色鉛筆で描かれた線が重なり合うことで「色の音」を奏でているようにも見えるのです。

何にせよ、この「色の音」というのは、目で見て、実際に体感しないとわからない世界観であり、松島さんとお会いしないとわからないもの。是非とも直接、絵をその目に焼き付け、松島さんとお会いしていただきたい。そんなことを切実に思える東彼杵町の色鉛筆画家なのです。

MATSUSHIMA Rieko 2021 Exhibition @ Sorriso riso が2021年1月22日金曜日~1/31日曜日まで開催されております。ほぼ、全日在廊されるとのことですので私も、まだまだ知らない松島さん(まっちゃん)の話を聞き、ここに追記したいと思っております。是非、Sorrisorisoにてお待ちしております。

2021年1/22(金)~1/31(日)
10時-18時(26・27休)
Sorrisoriso千綿第三瀬戸米倉庫にて

MATSUSHIMA Rieko

MATSUSHIMA Rieko

東京都北千住出身、東彼杵町在住。彼女の色鉛筆のみで描く抽象画は、蛇行し深い渓谷でこだまする千綿川の水の倍音のようであり、幾重にも重なる自然界の音の線。または観えない空気の色彩。それらを捉え筆を走らせているかの様な色の世界と思想の世界が閉じ込められています。

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