ノスタルジックな体験で、子どもたちに特別な思い出づくりを。『手作り雑貨・古民家カフェ 椛(Momiji)』

写真

  • (6枚目は畑上さん提供)

    (6枚目は畑上さん提供)

取材・編集

椛・看板
囲炉裏で懐かしさを味わえる、東彼杵町の古民家カフェ

子どもの頃に、田舎のおじいちゃん・おばあちゃんの家に遊びに行った思い出はありますか? 遠い昔の出来事をうすぼんやりと思い返し、温かい気持ちになることもあるでしょう。たとえその時の様子を鮮明に思い出すことができなくても、秘密基地みたいな2階の小部屋に連れて行ってくれたこと、晩ご飯のお手伝いをしたこと、ピアノを弾かせてもらったことなど、体験した断片的な記憶は大人になっても色褪せないものです。

そんな懐かしい気持ちになれる、素敵な場所が東彼杵町にあります。店主・畑上茂彦さんが営む『手作り雑貨・古民家カフェ 椛』。畑上さんが第2の人生として始めたこのお店は、早くもたくさんの人が訪れる人気店になっています。

椛・外観、店主・畑上さん

趣のある古民家の中には、どんな世界が広がっているのでしょうか。お店の魅力や、畑上さんのお店にかける想いなどを伺いました。

リノベーションした古民家で出会う、手作り雑貨たち

お店の建物が建てられたのは、約60年前の昭和38年ごろだそうです。空き家になっていたこの家を、畑上さんは15年前に購入。働きながら少しずつ手入れを加え、2019年に移住し、カフェとしてお店のオープンに至りました。

椛・内観

元々は農家のお家だったようで、玄関など当時の造りをそのまま生かした部分もあります。今となっては珍しい土間を活用し、カフェメニューを提供できるように厨房へと改装しました。また、掘り炬燵になっていたスペースは囲炉裏に。輪になって囲炉裏を囲みながら、都会では味わえない体験をすることができます。

店内を案内してもらいながらも、「あれは何だろう?」「これも古そう……!」と、周りには気になる物ばかり。

畑上「これらは持ち込みで預かっている売り物なんです。このテレビはかなり古いので、もう電源はつかないですね(笑)インテリアと思ってもらえたら。他にもタイプライターや8mmカメラなど、他のかたから持ち込みで預かった物です」

椛・骨董品

こちらでは、外部から預かった手作り雑貨や骨董品などを展示・委託販売しています。畑上さんは開店当初からこの形式で営業してきました。

「最初だけ、開催される手作り雑貨フェアなどに出向いて声をかけていきましたね。気になる作家さんなどに名刺を渡して、うちに置いてくれませんか?って。それから、こちらから依頼せずとも、作家さんの紹介やSNSのDMなどで自然に集まるようになりました。今では30名以上の作家さんの作品を預かっています」

椛・商品商品スペース

畑上さん自身が一時期陶芸を習っていたこともあり、焼き物も数多く販売中。東彼杵町にある障害者福祉施設『常明園』で製作された器をはじめ、県内各所から作品が集まります。遠くは大阪、東京からも連絡が来ることも。中には、無償でいただいた作品の売上を、地域の子ども食堂に寄付するなどの取り組みも行なっており、畑上さんの活動を中心に新たな循環が生まれつつあります。

「本当は奥にも倉庫があるんです。前はお客さんにも見せていたんですけど、今はちょっと手が回らなくて……」

と、まだまだ面白いものが眠っている予感。味のある工芸品や、レトロな掘り出し物を探して訪れたくなるお店でした。

ノスタルジックな体験で、記憶に残る思い出づくり

さて、気になるカフェメニューについてもお尋ねしてみました。畑上さん自身が考案しながらも、さまざまな関係機関やビジネスパートナーに相談しながら試行錯誤しています。

「最初、たい焼きでも出したらどうかって話があったんです。そこで思いついたのが『囲炉裏焼き』。魚を囲炉裏で焼くみたいに、たい焼きを串に刺して焼いてもらったら面白いんじゃないかなぁって(笑)私が上五島出身なので、それに五島うどんをセットにして提供しています」

そうして看板メニューとなったのは、冬限定の「椛・囲炉裏焼き」でした。そして、夏季限定の「ところてん突き」。大人から子どもまで、なんだかワクワクするような体験メニューが揃っています。

「最近の子どもや若い人が、なかなか囲炉裏を体験することってないでしょ?それに、ところてんをニュルッと突き出して食べる体験だとか、よそがやっていなくてクスッと笑えるようなことがやりたいんです」

椛・囲炉裏の前で話す店主の畑上さん

畑上さんとの会話の中では、「体験」という言葉がキーワードのように感じられました。それは、時が経つにつれて私たちが触れる機会が少なくなってきた“田舎体験”。

「ここでいろんな体験をして、何か思い出に残ってもらえたら嬉しい。そんな気持ちでお店をやっています。このお店は、何年かすれば無くなってしまうかもしれない。けれども、特に小さいお子さんなどに、大人になっても思い出してもらえるような時間を過ごしてもらいたいですね」

椛が提供するのは、単なる食事としてのカフェメニューではなく、いつか懐かしい記憶として蘇るかもしれないひとときでした。

子どもたちに喜んでもらいたい、家族のように

畑上さんが手をかける活動は、お店の外にまで広がっています。椛から少し離れたところにある畑を、地域の人から借りるとともに、地域の人たちの支援も受けて運営しています。「家族農園」と称して、定期的に植え付け・手入れ・収穫などの体験イベントを親子向けに開催しています。

「主にお店のInstagramで募集をかけるんです。さつまいもや落花生、大根など、畑でどうやって成るのかを見たことのない方もいますよね。だから、みんなで一緒に草むしりをしたり、植え付けをしたりします。そして、収穫の時期にも来てもらって、家族で収穫して持って帰ってもらうんですよ」

椛・店主の畑上さんお話し風景

土の中に埋まっている野菜たちは、どんな形をしているのか分かりません。子どもたちには、どれでも好きなものを自分で選んで引っこ抜いてもらうのだそうです。小さかったり、大きかったり、さまざまな形をしている野菜とのご対面。それは、スーパーで野菜を選ぶのとは全く違う経験になります。

最後に、畑上さんがここでお店をやること、そしてさまざまな体験の機会を提供することの理由を改めて聴いてみました。

「どうしてでしょうねぇ……。私にも孫がいるのですが、孫と一緒に食事をしたり、家庭菜園をしたりするのと感覚は同じなんです。畑で好きな大根を選んで引っこ抜いてごらんって言うと、孫が喜ぶんですよ。食べきれないからやめなさいって言っても聞かないくらい(笑)だから、孫が喜んでくれたことを同じように他の子どもたちにも体験してもらえたら、きっと喜ぶだろうなと思って、いろんなことをやっていますね」

椛・庭で遊べる遊具

振り返ってみれば畑上さんは、ご自身のお孫さんに何かしてあげたいという気持ちが、そのままお店づくり・体験イベントやメニューづくりに繋がっているようでした。初めて訪れた人でも、どこか懐かしい気分に浸ることができるのは、そんな畑上さんの純粋な想いのおかげかもしれません。

「ひと」の記事につきましては、以下をご覧ください。

店 名
手作り雑貨・古民家カフェ 椛(Momiji)
所在地

長崎県東彼杵郡東彼杵町一ツ石郷1915Google Map

営業時間
火曜〜水曜、金曜〜日曜
11:00〜17:00

※変更になる場合がございます。くわしくはお問い合わせください。

休業日
月曜・木曜

※変更になる場合がございます。くわしくはお問い合わせください。

お問合せ
TEL
0957-46-3162