東彼杵町Sorrisoriso内のTsubamecoffeeのパッケージが画家ウラベメグミさんのデザインでリニューアル!
東彼杵町瀬戸郷のSorrisoriso内にある『Tsubame coffee』は、上質で香り高い風味のコーヒーや、生クリームたっぷりの冷たくて甘いフラッペなど、子供から大人まで楽しめる豊富なメニューが評判のカフェ。店主の北川さんの気さくな人柄も相まって、地元住民をはじめ観光で訪れた数多くのお客さんの心をつかんでいます。
そんなTsubamecoffeeでは2021年の春、販売しているコーヒー豆のパッケージを大きく一新しました。赤・青・黄の美しくてまぶしい彩りの中に、お店の名前にもなっている黒いツバメに目が惹かれます。今にも生命力たっぷりに動き出しそうな素敵なデザインですね。
今回はパッケージのリニューアルにあたり、Tsubame coffee店主の北川真由美さんと、デザインを手掛けられた波佐見町在住の画家ウラベメグミさんにじっくりとお話をうかがいました。
ワクワクしたり嬉しくなるパッケージを作りたい
ーパッケージをリニューアルしたのは、どういったきっかけがあったのでしょうか?
北川「お店が5周年を迎えるにあたって、今までのTsubame coffeeをふり返った時に沢山の人に支えられたことや、皆の笑顔とか優しく温かい情景が浮かんで。それがちょうどパッケージを変えたいと思っていたタイミングと重なったんです。それまでパッケージはシンプルなものにしてきましたが、優しくて温かい感じをパッケージで伝えられないかな、手に取った人や貰った人がワクワクしたり嬉しくなるものにしたいな、と考えるようになりました」
ーウラベメグミさんにパッケージのデザインを依頼されたのはなぜですか?
北川「まず単純にメグちゃんの絵、世界観が好きなんです。そして私は何をするかも大切だけど、誰と一緒にするかが大切だと思っていて。メグちゃんとはいつか何かを一緒にしたいとずっと考えていたので、2020年12月に相談し依頼しました。メグちゃんにはTsubame coffeeの名前の由来とかどんな店にしたいかを伝えて、明るくハッピーな感じにしたいね、ストーリー性のあるものが良いよねって話したり。最初の打ち合わせからお互いにワクワクドキドキで楽しかったのを覚えています」
ウラベ「とても楽しく打ち合わせをしている中で、真由美さんからツバメの習性について教えてもらいました。それまではツバメのことを何も知らなくて……(笑)。ただ習性のお話を聞いているうちに、インスピレーションが湧いてきました。自然豊かな風景や海、気持ちいい風を感じられるようなものを作れたらいいなと」
土と、風と、光と
ー伸びやかで自由な線を眺めていると爽やかで心地よい風を感じます。ツバメの習性からインスピレーションを得たとのことですが、赤・青・黄それぞれに込められたイメージはどんなものでしょうか?
ウラベ「赤は土、育つ、エネルギーのイメージです。大地から出てきた虫を食べたりするから。青は風、巣立ち。大海原を超え、吹きわたる風に乗って上昇しながら飛んでいくイメージ。黄色は光、巣帰り。あたたかな光の中へ戻っていくイメージです。習性を表現することは決めていましたが、できるだけ意識し過ぎず感覚で描きました」
ツバメは春になると、遥か5000キロも離れた南国から日本へ飛来する渡り鳥。大地から出てきたミミズや昆虫を食べながら、身を守るために人が多く行き来する場所に巣を作り、子供を産み育てます。やがて夏が終わり気温が下がると、大きくなった子供たちは温かい南国へ旅立ち、次の春には自分が育った場所に帰って新たな巣を作る習性があります。
ーパッケージの色によって、中に入っているコーヒー豆の種類は変わりますか?
北川「3種類のパッケージはそれぞれ豆の種類が違いますが、メグちゃんには豆そのものというよりもTsubame coffeeのイメージを重視してもらいました」
ーウラベさんは今回の絵を描いていくにあたって初めて挑戦されたことがあるそうで。
ウラベ「最初は別々に描こうとしたのですが、あれこれ考えるうちに1羽のツバメのサイクルを1枚の絵の中で表現する方が面白いんじゃないかと感じて。それでグラデーションのように1枚を仕上げて、そこからさらにイメージを広げて3枚に。こういう手法は初めてやりました」
―パッケージの絵をよく見ると、ツバメの雰囲気が周りに比べて少しカチッとしているように感じます。なにか工夫なさったことがあるのでしょうか?
ウラベ「実はツバメは切り絵で、これも初挑戦の画法なんです。試行錯誤している時に、アンリ・マティス※の画集を眺めていて『切り絵でやったら面白いかも!』と急に思い立って。切り絵だと線が締まるので、手描きのタッチの中に切り絵を配置することで全体にメリハリがつくのかなと思いました。ツバメに使っている黒も完全な黒色にならないよう、さまざまな色を混ぜて新たな黒を作ることで絶妙な色味にしています」
※アンリ・マティス:20世紀を代表するフランスの画家。目に映る色彩でなく心が感じる色彩を追求し、明るくのびのびとした作風を重視するフォーヴィズム(野獣派)のリーダー的存在。
―切り絵に初挑戦されて、何か発見したことや良かったことはありますか?
ウラベ「切り絵は、デフォルメすることの難しさを再認識しました。また、構図をじっくり考える時間だったり、絵を眺める時間の大切さも改めて感じることができました。」
一緒にやりたい夢が叶って、しあわせ
ー北川さんとウラベさんは普段からとても仲良しでいらっしゃるそうですね。おふたりの出会いやエピソードを教えてください。
北川「お互いちゃんと意識して言葉を交わしたのは2018年の夏に開催されたNO.1210の周年パーティー「ユムタナイト」というイベントだったと思います。その後も別のイベントでご一緒したり、友達の誕生日会をやったり、メグちゃん家に遊びに行ったり……と、2018年に一気に仲良くなりました。メグちゃんに出会った頃からいつか何か一緒にやりたいなと思っていたので、夢がやっと叶ってしあわせです!」
北川さんの温かな思いと、ウラベさんのセンスが光るこだわりが見事な形になったTsubame coffeeの新パッケージ。美味しいコーヒーと共にお店を旅立つツバメたちにはどんな素敵な物語が待っているのだろう、と夢が広がっていくばかりです。
ウラベメグミさんの「ひと」についての詳細は以下の記事をご覧ください。