波佐見焼のオリジナル商品開発や販売を行っているアイユー。
誰にでも使いやすく、かつ洗練されたデザインの食器は大人気で数多くのファンを抱えています。
2021年6月、アイユーが手がけているORIMEシリーズからさわやかに食卓を彩る「薄緑色」と「黄色」の商品が登場しました。薄緑色は全国に展開を広げるアパレルブランド『アーバンリサーチ』限定、そして黄色はくじらの髭限定の商品となっています。
特別なORIMEシリーズの販売に際し、私たちはアイユー社長の小柳勇司さんにお話を伺いました。今回はコラボ商品の情報をインタビュー形式でたっぷりとお届けします。
生地の折り目を表現した『ORIME』
―独特な模様があしらわれた『ORIME』は、アイユーの数ある商品の中でも特に根強い人気を誇っているシリーズです。ORIMEはアイユーの代表的な商品だと認識していますが、このシリーズが生まれたのはどのようなきっかけがあったのでしょうか?
小柳「2011年にアイユーへ入社しましたが、モノの作り方をよく分かっていなくて。でも何か作らなきゃと考えたときに生活を表す『衣食住』の言葉が浮かんだんです。うちは食器をやってるから『食』があるし、自分は洋服の販売員をやった経験があるので『衣』だな、と。この2つの要素を組み合わせたモノを作ることで、残りの『住』であるライフスタイル提案へと繋がるのではと開発を始め、2014年に完成しました」
ー食と衣を組み合わせるために、どのようなアプローチをはかりましたか?
小柳「2つの要素を組み合わせるために『服や生地の折り目』を柄で表現できないかとずっと考えていました。服の柄は無数に存在しますが、色々と模索した結果ヘリンボーン・鹿の子・シャークスキンの3つの柄を取り入れることにしました」
ヘリンボーンはざっくりとした大きな編み目模様、鹿の子はポツポツと浮かぶ白い斑点模様、シャークスキンは細かく波打つようなジグザグ模様が特徴。ORIMEでは布の素材感も表現するためあえてムラや模様の重なりも残し、独特のあたたかな風合いを感じさせるものになっています。
―完成した頃はどのようなアイテムを手がけられていたのでしょうか?
小柳「波佐見町の勲山製陶さんに依頼し、最初は磁器だけで制作しました。色は青・水色・黄色・紫の4色でのスタートで、作ったアイテムは茶碗・そば猪口・長角の皿・正角の皿・箸置き。この時お願いした勲山製陶さんには現在も制作をお願いしています」
予想以上の反響
初めてのORIMEシリーズにはどのような反応がありましたか?
小柳「一度展示会に出してみたら予想以上に良い反応でした。それで他にもできないかと思い、今度は土もの(陶器)にしてもっと手作り感を出してみたいと。試しに土でやってみると良い仕上がりになることが分かり、製品化することにしました」
土もののORIMEを制作する際に生地へ化粧土をまぶす工程があるのですが、土をまぶすことで生地の厚みが増し、柄の凹凸感が強調されて面白い仕上がりになるのだとか。
小柳「次は土ものを展示会に出してみたところ、茶色と白で作ったORIMEの評判がかなり良かったんです。それをきっかけにインテリア雑貨のお店から『自分の店に置きたい』というお話を頂くことが増えて。さらにそのお店でORIMEを見たお客さんから『ぜひうちでも!』と別注をもらえるようにもなりました。アイユーが今までやってきたことと、自分の経験が形になって活きたのがORIMEです」
コラボレーションのきっかけ
アーバンリサーチさんとは以前からコラボレーションを展開されていますよね。一緒にやろうというお話になったのはどのようなきっかけでしたか?
小柳「初めてコラボしたのは一昨年でした。長崎駅のアミュプラザで波佐見焼のイベントをやっていた時に、たまたま別の企画でいらしていたアーバンリサーチのイベント担当の方とお話しする機会があり『日本各地の魅力を紹介するジャパンメイドプロジェクトという取り組みを、長崎でもおこなっているんです。』と誘って下さったのが始まりでした」
2020年もコラボレーションを行い、大変な反響だったそうですね。アーバンリサーチさんから「今年もぜひ」というお話だったそうで。
小柳「そうなんです。昨年のコラボで手掛けたのはポット・煎茶用のカップ・お茶碗・豆皿・6寸皿でした。お客さんからの反応がとても良く、たくさんの方に喜んでいただけたと思います」
―2021年に発売される商品はポット(大)・そばちょこ・茶碗(大)・キャニスター・6寸皿の5種類にのぼります。2020年の時と同じ商品もあるようですが、少し仕様を変えているそうですね。
小柳「ポットはサイズが大きくなって、年代や性別を問わず使いやすいものにしました。煎茶用のカップはそばちょこに変えたので幅広いシチュエーションでお使いいただけるかと。そして今年はキャニスターという筒状の保存容器も新登場します。この中でも特におすすめはポットで、実際に使用して頂いた方から『軽くてかなり使いやすい』とお墨付きをもらいました」
くじらの髭だけのORIME
―それでは私たちくじらの髭とのお話も。このアーバンリサーチさんとのコラボレーションに合わせて特別に新たな色を作っていただいて。
小柳「今回は黄色をご用意しました。実を言うと、最初この色を表現するためにかなり難儀するんじゃないかと考えていたんです。ですが一発でOKが出るくらい意外とすんなり上手くいき、勲山製陶の渋江社長と大喜び(笑)。土の素材との雰囲気がマッチする綺麗な黄色に仕上がりました」
絶妙な色合いがとても美しいです。今回パッケージを手がけてくださったのは波佐見町の『岩嵜紙器』さんですが、「くじらの髭」の文字が独特のフォントであしらわれているお洒落なデザインですよね。
小柳「パッケージも岩嵜紙器さんにかなり良いものに仕上げていただいているので、大切な方へのギフトとして活用していただいても素敵だと思います」
大切な時間を素敵に織りなしてくれる特別なORIMEシリーズの数々。楽しい食卓や、美味しいそのぎ茶のお供にいかが?
みせ・ひとについての詳細は以下のそれぞれの記事をご覧ください。