ウラノの『URANIWA』プロジェクト。第1弾は「あま〜い!」おすそわけから、ニホン○○○○を知る

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長崎県東彼杵町にある航空機産業会社、『株式会社ウラノ』が2021年より新プロジェクト『URANIWA』を発足した。金属から、食品という新たな分野への取り組みを通して、会社の働き方を改革、町のデザイン形成、地域の環境問題への認知・共有を目指すという大規模ダイバーシティー事業が進められている。

第1弾は『pompom garden(ポンポンガーデン)』ブランドより、ニホンミツバチ純度100%のハチミツのご紹介。なぜ、養蜂なのか。ニホンミツバチの魅力とは。その背景について伺った。

食と自然への興味から始まった、
ニホンミツバチのいる暮らし

株式会社ウラノの副社長であり、長崎工場を取り仕切る小林正樹さんと、妻の結子さん。2人が中心となってURANIWA事業を進めているが、そのブランドのひとつがpompom gardenだ。

ミツバチたちが花蜜を集めて巣に戻ってくる際、腰に黄色いボンボンをつけて「ポンポン」と飛び回る可愛らしい姿から名付けられた。このプロジェクトを通して、ニホンミツバチと暮らすことの魅力を伝え、未来に繋げたいという夫婦の願いがある。

URANIWAプロジェクトの立案者である、小林正樹さん(左)と結子さん(右)ご夫妻。

小林正樹(以下、正樹)「もともと山や海でのアクティビティが好き。自然との関わる時間や仲間が増えてくると、食に対しても無農薬などこだわったもの、安全で健康的なものを取り入れたいと思い、実際に食生活が変化していきました」

小林結子(以下、結子)「私も、結婚後にハウステンボスの中で東洋医学的な考え方を中心にした予防医療を取り入れた施設で働いていたこともあり、健康や食についてきちんと考えるようになりました。そうすると、ニホンミツバチを養蜂している人に自然と出会って。最初の印象は”希少で、高価”というイメージだったのですが、実際に話を聞き、採蜜に立ち会い、採れたてのハチミツを試食させてもらうとめちゃくちゃ感動しました」

正樹「そうなると、『自分たちで採蜜して食べたい!』という食への好奇心が高まり、あわよくばニホンミツバチのハチミツを売りたいという邪な考えも出てきたりして(笑)。そして、実際に飼うことにしたのですが、一緒に暮らしているうちにニホンミツバチの可愛さの虜になっていて、ハチミツを食べたいという単純な考えから、減少しているニホンミツバチを増やしたいという想いが次第に強くなっていきました」

飼うことの難しさをひとつひとつ経験しては学び、上手くいった時は喜んだ。そうして、ニホンミツバチとの暮らしは5年が経つ。今では、ミツハチの生態や果たす役割、必要な自然環境と現実の問題と、これまで点と点で考えていたものが線として結びついていることがわかってきた。

正樹「ミツバチと暮らしているうちに、いろいろな課題が見えてきました。そこで、今回の『URANIWA』プロジェクトを考えていくときに、私たちがミツバチたちと暮らすことで学んだこと、芽生えた想いを、社内や地域の人たちと共有し取り組めたら面白くなるのではと。先ずは、社内や身近な人たちで日本ミツバチを飼ってみたいという人を集めて巣箱づくりのワークショップを開き、私たちが経験で学んだことを丁寧に伝えていきました。現在も、初めての方でも気軽にニホンミツバチとの暮らしを始められるようなサポートができるように思考錯誤をしながら仕組みを作っているところです」

ニホンミツバチを知る。
ニホンミツバチから学ぶ

ハチミツの生産量は県別で見ると長野、北海道、秋田と続く。主に東日本以北を中心として生産されているが、それがニホンミツバチのハチミツとなると話は別だ。そもそも統計が取れないほどの量らしい。

「日本に出回っているハチミツの1%にも満たないんです、ニホンミツバチの純度100%のハチミツは」と小林夫妻は語る。なぜ、ニホンミツバチのハチミツがこんなにも希少なのか。それは、セイヨウミツバチに比べて採取量が10分の1と言われているからだ。

ただ、その分カルシウム・カリウムなどの、美肌に欠かせない各種ミネラル(10種類以上)が、セイヨウミツバチのハチミツの4倍近くも含まれているという。ニホンミツバチのハチミツが、普通のハチミツの何倍も高額なのも頷ける。その貴重なハチミツが、この度『pompom garden(ポンポンガーデン)』から商品化される。これは、店頭に並ぶまで何とも待ち遠しいものだ。

正樹「pompomgardenのハチミツの売り上げはすべて巣箱用木材の購入資金に充て、ミツバチとの暮らしを始めたい方々を集めて巣箱づくりのワークショップを行っていきます。巣箱は無償で持ち帰ってもらいご自宅や畑などそれぞれが置ける環境に巣箱を設置してもらう。巣箱が増え、ミツバチが増え、ミツバチのための花を植えて蜜源を増やす人が増える。そんな、好循環なサイクルを目指しています」

結子「pompomgardenのハチミツを販売するにあたり、ミツバチのことが少し解るリーフレットを作りました。黄色いボンボンが可愛い。長崎県をメインに活動されている『DEJIMAGRAPH』さんにイラストをお願いし、絵本のようなリーフレットに詰め込んでもらいました。

このプロジェクトを知ってもらうことで、もっとニホンミツバチを身近に感じてもらいたい。そして、そこからミツバチの未来や地球環境のことへと想いが派生していったらいいなという想いもあります」

希少で、貴重な、ニホンミツバチのハチミツ。
ありがたく、試食してみた

小林さんのご自宅で、うわさのニホンミツバチのハチミツを試食させてもらった。そのままスプーンにすくって食べてみることに。

「これは、間違いなく、美味い」。脳が指令を出すとともに、口の中が甘さを受け入れる準備をしたが、実際に口に含むと、想像以上の甘美な甘さが広がる。思わず「あま~い!」とカメラ目線で叫びたくなるほど。幸せとは、このことを言うのではないだろうか。

お次は、スコーンにバターと一緒に乗せて食べてみる。「うまい! うまい! うまい!」。どんどん食が進む。夢中になる。これは、鬼もたじろぐほどに悪魔的な食べ物なのではないだろうか。顔は甘いマスクには程遠いが、終始緩みっぱなしだ。

正樹「これからpompomgardenの美味しいハチミツを販売しながら、ニホンミツバチとともに暮らす魅力を伝えたい。その想いに共感してくださる方々が巣箱を置いて飼ってくださり、ニホンミツバチと人との関わりがより増えていくことで少しでも彼らへの恩返しに繋がっていけば嬉しいです」

ワクワクドキドキの
蜂蜜採取現場

後日、ハチミツの採取時期に合わせて再び小林さん夫妻のご自宅を訪問した。記者も、ドキドキの初養蜂現場である。納屋で一通りのレクチャーが行われた後、採取現場である小林さん家の庭へ移動。庭には、写真のような養蜂用の巣箱が数カ所設置されてあった。

嗚呼、刺されたらどうしよう。

正樹「月に2回ほど、定期的に巣箱の掃除をして病気にならないように管理してあげる必要があります。ミツバチは、その人の香りを覚えていてこの人は大丈夫だとか匂いでわかるんです。何もしなければ刺さないんですが、怖がったり、怒ると刺してきます。とにかく、暑くても肌の露出をしないようにしましょう。作業中は怯えず堂々と、そして静かにやっていけば怒って刺されることはありませんよ。まあ、私は刺された経験がありますが(笑)」

正樹「中にはギッシリ、ニホンミツバチ純度100%のハチミツが詰まっています。巣箱の境目を、ナイフで切り取って回収していきます」

的確に、そして素早く作業が行われていく。

あっという間に数箱分の採取を終えて、納屋へと入り試食会へ。養蜂見学に来た人たちに、採れたてのハチミツを振る舞った。

「うわっ! 何これ、あま〜〜〜い!!!」「群によって蜜の香りも、味も違う!」「これが、本物のニホンミツバチのハチミツなんですね!」

子どもも、大人も。あちこちで、初めての味に感動の声を漏らしていた。

正樹「今年の春は、おかげさまで自宅の巣箱の分蜂群を5群新しい巣箱に迎えることができ、ミツバチの家族が沢山増えました。今借りている中岳地区の棚田と近所の休耕地にも一群ずつ迎えられて。家の庭に増えた群は梅雨が明けて落ち着いた頃、ミツバチに来てほしいと熱望していた方達の元へお引越し。新たな環境にもすぐ慣れたようで、それぞれ元気に活動しているようです。こうやってニホンミツバチと一緒に暮らすお家が増えていくことが理想ですね」

食を通した環境理解を深め、地域活性化にも繋がるウラノの新事業、URANIWA。ハチミツブランドpompom gardenのハチミツは、8月3日(水)から店頭に並ぶ予定だ。みなさん、ぜひ手にとって一度ニホンミツバチ純度100%の衝撃を味わってほしい。

そして、次なる食も気になる。URANIWAの今後の広がりが楽しみでならない。

ひと・みせ・ことについての詳細は以下のそれぞれの記事をご覧ください。