東彼杵町彼杵宿郷にある『Pure Food Pure Body』は、身体のみならずその人の人となりや精神面、食事など全体にアプローチする“ホリスティック”的な視点でクライアントの不調と向き合い、さらなる健康美を目指すサロンです。
2021年11月に始動したサロンでは、身体の深部からデトックスを行う機械『CS60』を使った施術をはじめ、アンチエイジングや生活習慣病防止への効果が期待される水素を活用したケアなど、国内でも最新鋭の療法が施されています。
『Pure Food Pure Body』を営む石井恵子さんは、アメリカでホリスティックヘルスカウンセラーの資格を取得。2009年に現地でサロンを立ち上げて以降、クライアントへ親身に寄り添い伴走する活動を続けています。
自分のサロンをオープンするまで
恵子さんは福岡県出身。幼い頃から『アルプスの少女ハイジ』のような世界に憧れ、将来は動物に関わる仕事をしたいと夢見ていました。やがて九州大学農学部へ進学し畜産について学んでいた4年生のころ、農学研修生としてスイスへ1年間滞在し現地の畜産を学ぶ機会を得ます。
憧れのハイジの舞台に心躍った恵子さんでしたが、配属先の農家ではコミュニケーションがうまくいかない上、「女性は家の仕事を」とやるのは家事ばかり。このまま帰るのは嫌だと慣れないドイツ語で手紙を書いて必死に説得しました。それからは畜産の仕事に関わりながらドイツ語の学校へも通わせてもらうことになり、無事に13ヶ月の研修を終えました。
帰国してすぐにスイスで狂牛病が流行り始めたと聞いた恵子さんは、九大で狂牛病研究をしたいと教授に申し出ましたが「東京大学で研究をやっているからそこに行きなさい」と言われ、東大の獣医生化学研究所へ。これからは研究の道を進もうと東大大学院への進学を試みましたが失敗し、頓挫してしまいます。
それからは研究室で出会った最初の夫と結婚しつくば市へ。この頃、恵子さんはひどい発疹に悩まされるようになり、運動や食事療法を行うことで次第に症状が良くなっていった経験から、心身の不調に向き合い改善していくことに興味が湧き始めます。やがて2人の子供を出産したのち、夫の仕事の関係でアメリカへ向かうことに。
アメリカで3人目の子供を出産し数年後、食事と健康の関わりについて本格的に学びたいと考えた恵子さんは、ニューヨークにあるアメリカ最大のホリスティック栄養学校『Institute of Integrative Nutrition(IIN)』へオンライン入学します。
やがて1年間のプログラムを履修したのちホリスティックヘルスカウンセラー資格を取得。友人を集めて料理と健康についての教室を開いたことをきっかけに、2009年『Pure Food Pure Body』をスタートすることとなりました。
お茶と海のまち、東彼杵へ
自身のサロンを立ち上げてからは、アメリカのみならずオンラインを通じて日本のクライアントも獲得していった恵子さん。その一方でプライベートでは夫との関係が不穏なものとなり離婚を決意します。3人の子どもと離れ(現在お子さん達は毎年夏に恵子さんの元へ訪れ一緒に過ごすほど仲良しだそう)、2013年に単身帰国した恵子さんは新たな拠点づくりのため日本各地へ奔走しました。
この頃、大学時代に所属していたチアリーダー部の活動のさなかで出会い、かつて文通をしていた松本靖治さんと偶然再会。靖治さんは家族とのトラブルで心も身体も疲弊していた恵子さんを励まし、心の支えとなってくれました。やがて2人は結婚し、靖治さんが経営に関わる『京都おぶぶ茶苑』がある京都へとサロンの拠点を移すこととなりました。
再婚した靖治さんとの間に3人の子供が生まれ、仕事面ではセミナーやカウンセリング、天城流湯治法と呼ばれるセルフマッサージなど、これまで自分で勉強した健康法を盛り込んだ『自分メンテ講座』を積極的に開催。また、3人目の子供を妊娠中に靖治さんの勧めで『CS60』に出会い運命を感じた恵子さんは、すぐに資格を取得し施術を開始しました。
そして2018年、“長崎にお茶の生産が盛んな町がある”と知り家族で東彼杵町へ初めて訪れたときのこと。靖治さんが「海のそばに住みたい」と憧れを抱いていたことに加え、子供の自主性を尊重した教育を行う『学校法人きのくに子どもの村学園』が運営する小中学校が町内にできることを聞き、いっそのこと移住しようという話が持ち上がります。
それから家を購入し、月に1度は東彼杵へ訪れて地元の人の手を借りながらリノベーションを実施。2020年3月に移住することとなりました。
困っている人の背中を押していきたい
東彼杵で新たなサロンを設けるため自宅の一部を使おうと考えましたが、子供がまだ小さいからと断念。靖治さんが事務所として使用したりインターン生を受け入れるために購入した建物をリノベーションして、サロンとして活用することとなりました。
当初はテスト運営のような形を取り宣伝はしていなかったものの、情報を調べて訪ねてきてくれるクライアントが少しずつ増えていました。そのさなかにあった2021年6月、海月食堂とコラボレーションイベントを開催することとなり本格的に活動を開始。同年11月に現在の店舗をオープンし、多数のリピーターを抱えるほど人気のサロンとなっています。
興味が湧いたことはとことん学び、追求してきた恵子さん。様々な資格を取り、仕事として続けていくためにどのようなモチベーションを抱いているのでしょうか。
恵子さん「プライベートな面から言えば、アメリカにいる子供たちは私の背中を見続けてくれているのでそれが働く原動力になっていますし、子供たちが毎年私の元へ来てくれるときに、こういう仕事をしているんだよと自信を持って示せるような士気も生まれています」
これまで人生を揺るがすような大きな出来事が起きても、その度に乗り越えてきました。そういった経験や身に付けてきた技術を困っている人のために活かしたいと恵子さんは語ります。
「私自身経験した事ですが、ガタっと落ち込んじゃうとそこから自力で抜け出すのって大変なんですよね。そういう人を見ると、過去に落ち込んでいた時の自分に重ねてしまうこともあったりして……人って無意識にネガティブなモードになっちゃうので、そこを乗り越えて意識的に前向きになれるよう人生の波の乗り方を一緒に考えながら、困っている人に伴走して背中を押していきたいなって思っています」
『Pure Food Pure Body』を立ち上げおよそ13年、たくさんの人に寄り添ってきました。恵子さんの温かな手は、これからも人の心と身体を元気づけてくれる大きな存在であることでしょう。
「みせ」の記事につきまして、以下をご覧ください。