牧場と焼肉店の二人三脚。東彼杵町育ちの長崎和牛を提供する「焼肉 音琴」

東彼杵町にある「焼肉 音琴」は、「塚本畜産」の牧場直営焼肉店!

大村市内から東彼杵方面に向かう国道205号線、大村湾沿いのドライブコース。穏やかな海の景色を横目に、ゆるくカーブを繰り返すこの道が好きなドライバーは多いだろう。道沿いの建物や風景の雰囲気が徐々に変わってきて、通り過ぎていくお店が目に入るたびに、寄り道したい気持ちとの戦いだ。

たくさんの誘惑をグッとこらえて、彼杵と川棚の中間あたりまで来ると、美味しいお肉グルメにありつけるとっておきの焼肉屋さんが待っている。「焼肉  音琴(ねごと)」は、この町が誇る“牧場直営”の焼肉店。「なぜここに焼肉屋さんが?」そう疑問に感じていた人も多いはず。ここでお店を営むに至った経緯を詳しく訊いてみた。

牧場を持つ兄から、「ここでお店をやってくれないか。」

「音琴」は、創業17年。2004年に始まり、極上の長崎和牛をより美味しくいただける形で提供し続けてきた。店長の塚本隆男さん(以下、隆男さん)は、畜産牧場を営む兄の一言がきっかけだったと話す。

音琴の店内、塚本隆男さん・伸一さん

隆男「元々、ずっと福岡で飲食の仕事をやっとったんよ。23年くらいになるかな。色んな店を経験したし、自分の店を持ったこともあったね。働いていた店を辞めた時、ちょうど正月にこっちの地元に帰ってきとって。そうしたら(社長である)兄貴から、ここでお店をやってくれんかって。タイミングも良かったし、引き受けて地元に帰ってきたんよね。それがきっかけ。」

お店から車で数分登った山の中に、「塚本畜産」がある。「牧場と直結した焼肉屋を始めたい。」隆男さんの兄は、かねてよりそう考えていたらしい。牧場という生産の現場だけでなく、消費される食卓まで見届けるために。通常、牧場を経営している人は、自分たちが育てた牛が食肉となり、どんなふうにお客さんの前に出されているのかを見ることはほとんどないからだ。想いを形にするため、ずっと飲食業に携わってきた弟の隆男さんに声を掛けた。

「良い肉」を求めて、牧場と二人三脚で

肉の仕入れは牧場側で行い、「音琴」でお客さんに提供する。加えて、「塚本畜産」から出荷した枝肉(※1)を持ち帰り、いの一番に店で捌いて品質をチェックすることも欠かさない。牧場直営店であることの最大のメリットでもあり、焼肉屋を立ち上げた理由もここにあるのだ。

(※1)枝肉…牛1頭から皮や骨、内臓などを取り除いた状態のもののこと

精肉に包丁を入れるシーン

兄の息子であり、隆男さんの甥っ子に当たる塚本伸一さん(以下、伸一さん)が、牧場の現場管理や牛の飼育・品質管理を任されている。

伸一「肉を捌いてもらって、サシの入り方(※2)や、脂が硬い・柔らかいなどの質感について、すぐに感想を聞くことができます。肉の美味しさって、脂で決まるんですよ。」

隆男さん曰く、盛り合わせなどが2皿注文を受けた時も、1皿ずつしか作れないのだとか。なぜなら、肉の脂が溶けてしまわないように時間との勝負であり、それだけで味が落ちてしまう可能性があるからだ。特に夏場は大変らしい。

塚本畜産・塚本伸一さん

伸一「通常は、全農の冷蔵庫などでぶら下がっている枝肉の状態までしか見れません。でも私たちは、一番仕上がりがいい牛をあらかじめ指定しておいて、それをここに持ち帰ってきます。今まで自分たちが実践してきたことの“結果”が分かるわけです。」

「塚本畜産」は、自前の配合飼料を使う。配合がダイレクトに脂質に影響してくるのだ。店で肉に包丁を入れてみて、飲食業のプロから仕上がりを評価してもらい、フィードバックを持ち帰る。それをまた餌の配合などに反映させ、次に活かしていく。つまり、「塚本畜産」と「音琴」の間で、常に“修正”と“改善”を繰り返すサイクルが整っている。創業十数年にものぼる今もなお、トライ&エラーを実践し続けるプロ意識が垣間見えるようだ。

(※2)サシ…牛肉の赤身の間にある脂肪のこと。脂の質が良く、綺麗な模様を描いていることを「サシの入りが良い」といった表現をする。

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焼肉音琴の焼肉シーン

こだわりは勿論、食べてくれるお客さんの存在も忘れない

ここで一つお尋ねしたい。「牧場直営店」というワードを聞いて、皆さんはどういうイメージを抱くだろうか。ここで出されるお肉は、いわゆるA4〜A5ランクなどの上質な長崎和牛だ。かつて川棚町の長崎和牛は、日本一に輝いた。平成24年度の第10回全国和牛能力共進会にて、内閣総理大臣賞(肉牛の部)を受賞している。さらに、ここ「音琴」では、常により良い品質にするべく改善の努力や手間を怠らない。これだけ聞けば、「高級焼肉店」といった印象を抱く人が、少なからずいるのではないだろうか。

隆男「ここは高級店だって言われることはよくあるね。そりゃあ、食べ放題の焼肉店と比べたら値段は高くなる。でも、いくら頑張ったところで、食べてもらわんことには意味がないけんね。店を立ち上げた当時、佐世保あたりまで価格の相場を調べに行って、それよりは金額が高くならないようにしとるとよ。」

焼肉も絶品だが、名物は「牛トロ丼」などの生肉を使用したメニュー。希少な部位を使っており、1日4食のみの数量限定の人気商品だ。来ればいつも注文する地元のファンもいるのだとか。こちらは1,100円でいただける。

音琴の店長・塚本隆男さん

隆男「結構長いことお店やってきたけど、今まで値段上げたのは何回くらいやったかな…?…2回か。本当は「牛トロ丼」なんかも数が少ないけん、金額も上げんと合わんとさ。でも食べてほしかけん、上げられんたい。いっちょん儲からんとさ(笑)」

隆男さんの言葉、そして「音琴」の方針。福岡時代や現在の場所で、長くお客さんと向き合ってきたが故の想いが感じられる。時間をかければ技術は上がり、手間をかければ高い品質へと近づいていく。しかし、それをお客さんの元へ届けるためには、売るための心が必要だ。できるだけ美味しいお肉を、できるだけ美味しい状態で、できるだけ手頃な価格で提供し続けたい。そんな真っ直ぐな心意気が伝わってきた。

焼肉音琴・塚本隆男さん

牛の飼育・生産が行われる牧場へ

最後に、伸一さんに牧場を案内してもらった。大村湾に背を向けて、店舗の裏に広がる山の中へと登っていく。

塚本畜産・牛舎小屋の風景1

伸一「山の斜面に合わせて、牛舎は3段あります。最初にできたのがここ、一番手前にある牛舎で、30年前くらいかな。この上に2段目、3段目と増やしていきました。ここだけで70頭、全部で約300頭います。上では僕の息子が牛の世話をしてますよ。」

牛舎の入り口付近には、餌を配合するための素材がたくさん。かき混ぜるための大きな機械設備もあった。既製品の餌ではなく、全て自前のレシピだからこそ、手を加えやすいという利点もある。

塚本畜産・配合飼料置き場

伸一「ここ東彼杵は、夏場はあまり暑くなりすぎず、冬もそこまで冷え込むことがないんです。海と山があるので、海風が適度にのぼってきます。夏場は特に、周りより気温が上がりにくいですね。暑すぎると、牛も人間と同じで熱中症になるんですよ。」

自然に囲まれ、海がすぐ目の前にあるこの地域だからこそ、牛が健やかに育つ環境となっているようだ。

塚本畜産・牛舎にいる牛たち
塚本畜産・塚本伸一さん・牛舎小屋にて

「長崎和牛」といっても、長崎県内の各所にあるので、一括りにできない。今は消費者が、その製品がいつ、どこで、だれによって作られたのか、情報を追跡できる時代。食に安心・安全を求める傾向にあると言われている。だからこそ、消費者の“納得”が大事なのではないだろうか。自分たちの生産する牛に責任を持ち、消費者に選ばれる「良い肉」を育てていきたい。そんな一心で地産地消を実践する、この町自慢の焼肉店と牧場の存在を、町内外問わず多くの人に知ってもらいたいと切に願う。

焼肉音琴の外観

「ひと」についての詳細は以下の記事をご覧ください。

ひと:「焼肉 音琴」の店長【塚本隆男さん】が見せる、職人の顔と商売人の心


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写真:小玉大介
取材 / 記事:森恭佑
編集:森一峻

店 名
焼肉 音琴
所在地
長崎県東彼杵郡東彼杵町大音琴郷1719番地
お問合せ
TEL
0957−47-1107
TEL(牧場)
0957-46-1579

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