『宮共生会』と『ハイキーパーソン』。二つ目の顔を持った原田良太さんの今後のこと。 

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「みせ」「ひと」の取材が終わり、公開取材も第二部に入る。議題に上がったのは、原田良太さんが取り組もうとしている今後のことだ。『宮共生会』理事長としての今後はもちろんのことだが、原田さんが最近手に入れた二つ目の顔がある。それは、『ハイキーパーソン』の代表としての顔だ。第二部ではそれらのことを中心に語っていただいた。

宮共生会の今後のこと

理事長を務める法人の今後のこととして、具体的な売り上げの目標が明確にある。その中で、売り上げも伸ばしつつ、社会課題にも向き合う必要があるが、原田さんは具体的にどのようなことを考えているのだろうか。

原田「就労支援の売り上げを2億円まで伸ばして、平均工賃を5万円まで持っていくのが目標なんですけど、あと9500万円の売り上げを作りあげないといけないんですよ。そこで、スプラウトにんにくの事業を去年から始めたりしています。あと9500万円作りだすために、どこかの企業と、ぜひコラボとかしてもらいたいです。もうネタ切れです(笑)」。

社会課題と就労支援の相互関係からも、仕事は生まれていく。

原田「農福連携や、農商工連携とか、担い手が不足している部分に関して、不足している労働力の部分を、障害のある方が補っていくというビジネスモデルというのはすごくたくさんあります。今後はそういう事例が出てくるんじゃないかなと思ってます。今までは内職的な感じで安くできるイメージがあったんですけど、最近は労働力として認めていただいてる部分も大きくなってるかなと思います。我々福祉分野の人間が、あまり卑下する必要はないので、『これだけの仕事をやれるので、これだけの仕事をください』っていう交渉をすることが大切だと思います。そのなかで、僕らに発注することでお互いにメリットが出てくるということがあると思うので。なんかあったら、仕事ください(笑)。お願いします」。

就労支援を経て、目指すところは障害のある方の自立。しかし、一般の企業で雇われることが難しい方が多いことから、福祉的な支援が必要となるケースも多い。サービス業、製造業に関わらず作業工程というものがあるが、障害当事者の方は、そのうちの一部分のみを担えることが多い。一人ひとりができる工程を集め、一つのサービスや製品を作るということがベースではあるが、その全てを担うことができるならば、法人では一般就労ができる可能性があると考えている。

そのなかで、実際に事業者が働き手として雇用したいという話もきている。しかし、事業者が働き手に求める工程と、働き手が遂行できる工程にギャップが生じることがあってはいけない。その部分のマッチングという点は、就労支援者側の大きな役割だ。今後はそのようなマッチングできる相手を増やしていくことも、法人の展望の一つだ。

ハイキーパーソンとしての取り組み

先述したように、原田さんにはハイキーパーソンの代表という一面もある。今後、どのような活動をしていくのだろうか。というより、ハイキーパーソンとは何なのか。

原田「なんで立ち上がってきたかというと、私の先輩がホテル業をされていて、その方がコロナ禍における新しい取り組みをしようとしていました。補助金なども関わっていたので、『西海みずき信用組合』さんと一緒に話し合いをするなかで、私もお声掛けをいただいて。そのなかで、ホテルの宿泊者数が伸びるだけでは、もったいないなと。宿泊者がこの街に留まり、飲食をしたり、早岐を起点として西海市や佐世保市の観光にしっかり繋がる魅力的なところにする必要があると思いました。そういった話を西海みずきさん、ホテル、私でしていると、森一崚さんが一緒に入ってくれて、そして、私の友人で『MINATOMACHI FACTORY』という会社をやっている石丸徹郎さんがアドバイザーという形で入ってくれて。結局は15人くらい集まっていろいろな話をすると、なにかしらアクションを起こせる団体にしようということになりました。西海みずきの陣内理事長がダジャレが好きということで、石丸さんが、早岐とそこにいるキーパーソンをかけて『ハイキーパーソン』という名称をつけてくれて、結成にいたりました。で、なぜか私が会長になったという感じです(笑)」。

帽子を被った方が、ダジャレ好きな『西海みずき信用組合』陣内理事長。当日は出席していた。

早岐をより魅力的な地域にするために、キーパーソンの力を借りて、どのような活動をしていくのだろうか。

原田「ハイキーパーソンでやりたいことはいくつかあります。まずは、キーパーソンをホジるということで、ウェブメディアの展開です。これは『くじらの髭』のウェブを真似させてもらって、この地域にいるキーパーソンを発掘していこうということです。次に、キーパーソンが交わることをやります。キーパーソン同士が化学反応を起こす、共創するときにいろいろなビジネスが生まれる可能性があるんじゃないかと思っています。最後が一番大事だと思っていて、地域活性化や地域おこしは、なかなか継続が難しいという印象を私は持っています。なぜなのかというと、しっかりビジネス化ができないところが多いからだと思っています。ビジネス化できないので、補助金などに頼り、継続性に欠けてしまうというのが課題かなと。そういった意味で、しっかりお金を生む仕組みを作る必要があると思います」。

ホジる、マジる、ビジるという3つの展開で、早岐での起業を促し、継続性を持った地域の活性化を目指すのが、ハイキーパーソンの今後の取り組みのようだ。具体的なお金を作る提案や、ビジネス案は存在するのだろうか。

原田「お金を作るところに関して具体的な提案はしてないです。理事者からの提案というよりは、人の交わりの中で新しいビジネスが生まれてくる方が継続性が高いと思います。あとは、若手の方。若い方が来れる街に。早岐は交通の要衝なのに、今はただの通過点になってしまっている。例えば長崎国際大とか、地域にいる若い人が早岐に集まって、面白いことができる地域になっていくと、活気ある街になると思います。そのなかで、新しいことをやりたい人を支えたい。ハイキーパーソンに加盟してる人たちで、近いうちにワークショップを開催して、今から商売したいとか、起業したいという人に対してできることを考えてもいいと思います。お金の面じゃないなら、いくらでもやれることはあると思いますから。僕が発案というより、そういったワークショップなどで皆さんが出してくれた提案を、どう実現していくかという方が僕は得意だと思います。今後はそういったところに注力したいという気持ちがあります」。

早岐地区から”何か”が起きる予感がした第二部の公開取材。
これからの早岐地区、そして、原田さんの活動に注目したい。

公開取材の様子はこちらから。

2022年10月23日開催 第1回 ひとこと講座 -公開取材とローカル編集-

「みせ」の記事につきましては、以下をご覧ください。

「ひと」の記事につきましては、以下をご覧ください。