好きなことを好きなだけ。そのぎ茶とミニトマトとミニトマトワインを作っている大場真悟さん【長崎国際大学 佐野ゼミ共著記事】

  • 佐藤 有優(長崎国際大学)

    佐藤 有優(長崎国際大学)

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家業のお茶農家を継いで今年で13年目

お茶農家で育った大場さんは、学生時代から何かしたいことがあればすぐに取り組んでいたという。中学生から農家を継ごうという気持ちがあり、静岡県にあるお茶の専門学校へ推薦で行き、腕を磨いた。現在は、東彼杵町へ戻りそのぎ茶の栽培に加え、2018年からミニトマト栽培を開始。なぜ、本業に専念するだけでなく新しいことを始めようと思ったのか。

大場「お茶による年間の収入は、4〜6月の3か月で稼ぐということになります。つまり、それだけ万が一の非常時などのリスクは大きくなるんですね。その点、ミニトマトは年間を通して栽培ができるので安定的に収入が得られます。その話をJAの指導員の方に聞いてすぐに取り掛かかりました」

そうして、新たなビジネスとして始めたトマト栽培も軌道に乗り始めている。甘いフルーツトマトを作る場合、普通は水分量を絞って栽培をするそうなのだが、大場さんが作るミニトマトは、逆に水や栄養を与えたり音楽を聞かせていかに樹を元気にできるかというストレスフリーな方法で栽培しているそうだ。ミニトマトのおいしい食べ方を聞いてみると「やっぱり焼き鳥のベーコン巻き!あれが一番ベストやね」。他にも、おいしい食べ方があるので、ぜひお試しを!

「房がぶどうにそっくりだった」。
思いつきが実を結んだ新事業

そのぎ茶、ミニトマトに続いて新しい挑戦が始まった。それが『ミニトマトワイン』だ。開発を進め、これまでに試作品を作っているそうなのだが、原点はミニトマトの房の感じがぶどうのそれに似ていることから構想を練る。

大場「(ミニトマトが)ぶどうみたいに房になっているので、同じようにワインにできんかなと思って。単純な思いつきとノリでスタートしました(笑)」

その後、全国各地のワイナリーにミニトマトでワインを作りたいと電話をするも相手にされなかった。しかし、福岡にあるワイナリーからは面白そうと興味を持ってもらい、試作品を作って半年で形にした。学生時代から何かあればすぐに実行する大場さんの行動力が実を結んだのだ。

農業をもっと若い人たちに
農業の魅力、やりがいとは

農業は自然相手の仕事。自然をコントロールすることはできず、豪雨や曇りの日が続くのが一番大変とのこと。しかし、農業は会社勤めのように時間に縛られず、好きな時にできる。仕事をする時間も終わる時間も自由だ。「全ては、自分の匙加減。休めるときに休めるところは農業の良さでもある」と大場さんは語る。

大場「仕事をするうえでの一番のやりがいは、”人から認めてもらえた”とき。それは、お茶でもミニトマトでも同じです。人から「美味しい」と言われたり、賞を取ったときの達成感は大きいです。」

これまで、3K(キツい、汚い、危険)産業と揶揄されネガティブイメージの強かった農業。しかし、そんな農業は今では3K(感動でき、格好よく、稼げる)ビジネスに変えられるのだと、大場さんは若い人たちに伝えたいと考えている。

大場「これから、農業をもっと若い人たちに楽しんでもらえるように環境を作っていきたいですね。農業はきつい、臭い、泥臭いといった過酷な労働イメージがあると思いますが、農作業も段々とおしゃれになってきていて、試作品を考えたり遊びと感覚でも始められるので、農業は楽しいんだということを伝えていきたい。そのために、観光農園のような、みんながふらっと立ち寄って収穫体験ができる施設を作ってみるのも面白そうですね」

これから社会人になる人へ。
若き農業実業家からのメッセージ

大場「とりあえず、なんでも挑戦してください。挑戦をして、失敗もたくさんしていってください。失敗が意外と良かったりするっちゃんね。いっぱいいろんなものを見て、自分の中で良いと思う選択ばしたら楽しかけん」

大場さんは、自分の好きなことを仕事にして、好きなだけ働いている。人生をとても楽しんでいると感じた。農業は決して大変なことばかりではない。自分なりの育て方を試行錯誤したり、新たな商品開発などを手がけてみたり。楽しめる部分はたくさんあるはずだ。そして、何より自分のやりたいことをやり続けていることが一番大切だと感じた。

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