好きを仕事にしている人。一二三自動車代表・林田功一さん【長崎国際大学 佐野ゼミ共著記事】

  • 和田 博幸(長崎国際大学)

    和田 博幸(長崎国際大学)

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林田さんが長きにわたって愛し続けているワーゲン

中学生の頃からフォルクスワーゲンが好きで、初めて買ったのは二十歳の時だった。だが、もともと整備士になりたかったわけではない。父も、兄も土木業を行い、林田さんも工業高校の建設科に進んだ。

林田「卒業後は、土木の仕事に就いて7年くらい仕事をしていましたが、当時はとても大変で、事務作業がほとんど。夜遅いことも普通でした。友達と遊ぶこともできなかったため、仕事は好きじゃなかったですね」

そんなとき、二十歳で買った車を壊しながら修理をしていたら面白いと思ったそうだ。そこで地元諫早市にあるスズキの副代理店に転職。仕事をしながら勉強をし、2級自動車整備士を取得。

林田「その数か月後福岡にある空冷ワーゲン専門店大手の『FLATー4』の門を叩きました。そこで様々な経験をさせていただき、4年後修行卒業許可を得て、翌年地元諫早市で開業することになったんです」

東彼杵町へ移住を決めたのは、豊かな自然と近いIC

しばらくして、諫早から別の街へ移転したいという思いが芽生えた。いろいろなエリアを探していると、東彼杵町が目に留まった。

林田「ワーゲンに乗っている方は、遠方のお客様が多いので高速のインターも近い東彼杵町を選びました。休日は家族と川や畑、動物といった自然と遊ぶことが多かったので、自然と触れ合える機会が多いのも魅力に感じました。」

仕事をしていて一番嬉しいこと。それは、お客様の笑顔

現代社会では、昔よりも車に興味を持つ人が少なくなったという声を聞く。若年層の人口が減っていることからも推測されるが、逆に整備士としての需要が高くなっていくことが予想される。また、ライフスタイルの変化から旧車や専門車といったニッチな分野に対するニーズも増えており、旧車の価格が高騰してきている。林田さんが専門としているワーゲンといった特定の車種の整備の需要も今後大きくなっていくはずだ。

林田「ワーゲンという車は特殊なので、整備技術が問われます。他のところではなかなか直せない、どこに行っても直らないような車がうちに来て無事に直ったと喜んでもらえたときは、嬉しいですよね。一方で、車は人の命を乗せて走る機械なので、ミスは絶対にあってはならない。事故に繋がらないようにするため、ものすごく神経を使いながら整備しています。」

そんな、林田さんの経営する『一二三自動車』は、古いフォルクスワーゲンを得意としつつ、一般の国産車も全般で修理を受け付けている。東彼杵町での暮らしには欠かせない車をサポートしてくれる、唯一無二の頼れる存在だ。ところで、一二三(ひふみ)という珍しい会社名に込められた意味とは何なのだろうか。

林田「僕が功一で、妻が二三(ふみ)なので、合わせて一二三。それと、空冷系統であるオールドワーゲンと呼ばれる車種がビートル、ワーゲンバス、タイプ3とそれぞれ言うのですが、正式名称はビートルがタイプ1、ワーゲンバスがタイプ2、そしてタイプ3。この二つの意味において、この会社の名前を決めました」

林田さんにとってワーゲンとは

林田「車がないと不便だし、急に止まったり、壊れたりしたら困りますよね。人がけがや病気になったら病院へ連れて行くのと同じように、修理に出して欲しい。自家用車をお持ちの方は、車も家族と同じくらい扱ってほしいと思います」

そんな林田さんが教えてくれた車を長持ちさせる方法は、まずエンジンオイルを3000~5000㎞、または半年に一回ごとに交換すること。あとは些細な異常、いつもと違う状態を察知した際は、すぐに修理に出すことが大切だという。

林田「いつまでの大切に、メンテナンスや修理をしていけば15万㎞~20万㎞以上、車というものは長く乗れます。私は、良い車や好きな車を長く乗ることが好きです。型遅れになったからといって乗り換えるのは、あまり好ましく思っていません。ですが日本という国は古い車を大事に乗っている方に対して不当に税金が高くなるのですが、因みに現在、レストア最中ですが二十歳の時に買ったワーゲンもまだありますよ」

最初に買った車も、いまだに健在するというから驚きだ。整備士という仕事。何気なく車を直しているように見えて、ちゃんと神経を使ってひとつひとつ丁寧に、ミスのないようにしっかり車と向き合わないとできない仕事である。そうしないと、人の命を奪ってしまいかねない。改めて大切な仕事なのだと痛感した。

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