あなたの魅力を引き上げる、極上のスーツを佐々町から各地へ。先鋭テーラー『L’ECRIN(レクラン)』

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店主の江頭知裕さん

その人のスタイルや醸し出す雰囲気だけでなく、生き様までをもカッコ良く・美しく魅せる――そんなスーツをオーダーメイドで仕立ててくれる『L’ECRIN(レクラン)』。長崎県北部の北松浦郡佐々町を拠点としながらも、時折キャンピングカーで県内外のあらゆる街へと繰り出しては移動販売も行う異色のテーラーだ。

店主の江頭知裕(えとうちひろ)さんは北九州出身。ファッション系の専門学校を卒業し、ハイセンスなデニムで知られるブランド『EVISU』が構える福岡県内の店舗に10年にわたり勤務した。退職後は妻の実家がある佐々町へ移住、自らの店を開業し現在に至る。

L’ECRINはフランス語で“宝石箱”を意味する。心づくしのスーツやドレスで着飾り、お客さんにキラキラ輝いてもらいたいという願いが込められている。

ちなみに、L’ECRINでは衣装レンタルも展開。婚礼衣装や着物のレンタルはもちろん、成人式あるいは結婚式用のスーツやタキシード購入者には和装での写真撮影やレンタルを格安で提供するサービスも行っている。そして、これまでにありそうでなかったLGBTQIA+婚(同性婚)のプロデュースも行うなど、新たなテーラーとしての形を次々と開拓し続けている。

まさかの出会いに導かれたスタート
レクランが提供する貸衣装イメージ

佐々町へ移住し、妻の実家が営んでいた貸衣装店に勤務し始めた。しかし、健闘も虚しく1年で倒産することに。地元福岡へ戻ることも考えたが、「せっかく新天地にやって来たのだから、自分の店をやってみよう」と一大決心。すぐに行動を始めた。

元々好きだったスーツやタキシードをオーダーメイドで手がけたいと考えていた。そこで、スーツ用の生地を扱う店や縫製を行う工場などを模索し、飛び込みで各地を訪問した。突然の依頼に協力を断られることもしばしばあったが、努力が実を結び平戸市内の縫製工場で運命的な出逢いを果たすことになる。

江頭「こういうタキシードを作りたいんですけど…ってイメージを伝えるんですが、最初に対応してくれた人はあまり良い顔をしてくれなくて。それで『別の者を呼びます』って言われてやって来たのが、なんと専門学校時代によく遊んでた同級生。すごく驚きました(笑)。そこから話がトントン拍子に進んで、同級生に生地屋さんとかたくさん紹介してもらったおかげでオーダーがいけるぞって流れになっていきましたね」

そのタイミングで小規模事業者持続化補助金の公募が始まり、無事に申請が通過。本格的にオーダースーツ店としてのスタートを切ることとなった。

L’ECRINの挑戦

いざL’ECRINの舵を切り始めたものの、最初は注文数も増えず悩ましい事態に。そこで、自身の所属する商工会メンバーに「1度着てみませんか」と呼びかけ、特別価格で注文をとることに。やがて、着心地の良さやビシッとスタイルが決まるカッコ良さが評判となり、次第に売上を伸ばしていった。

それと並行して町内の会場でファッションショーを開催するなど、多くの人の心が躍るような仕掛けや新たな取り組みにチャレンジしてきたL’ECRIN。中でも、特に大きな仕掛けはキャンピングカー『LECRIN号707』を活用した移動販売だ。長崎県内はもちろん、九州や本州など日本各地へと出向いてはオーダー会や写真撮影などを手がけている。

2021年にはギリシャ映画『テーラー 人生の仕立て屋』からオファーを受け、映画の主人公と同じようにスーツを移動販売する日本人テーラーとして作品のパンフレット内に江頭さんがコメントを寄稿。ギリシャの人たちから「知裕にぜひ会いたい」と熱望されるほど、国際的な注目を浴びた。

LECRIN号707は、憧れのロケーションや思い出の場所、自宅の近所など事前に希望を伝えれば基本的にどこでも出向くことが可能だ。採寸や試着ができるよう改装された広々とした車内空間で楽しくミーティングを行いながら、お客さん一人ひとりの魅力が引き立つスタイルの提案を行っている。

オーダーして完成するまではおよそ45日。完成したものは原則として佐々町にある店舗での試着、受け取りとなる(万が一来店が難しい場合は配送の依頼も受けているそう)。

「ミーティングは使う生地を決めたり、採寸や試着をしたり、お客様のこだわりを伺うなど2時間ほどかけて行います。一対一なので最初はみなさん緊張されるんですが、終わるころにはすっかり仲良くなるんですよ(笑)。その際に必ず伺っているのはスーツやタキシードを使うシチュエーションです。仕事で使うのか、大きな会議で使うのか、結婚式で使うのかなどで色味や生地感、形が変わるのでTPOに沿った提案も行っています」

ところで、オーダースーツ=長持ちするというイメージを持つ人は多いのではないだろうか。実は多くの人が誤解していると江頭さんは語る。

「オーダースーツは自分の身体に合って着心地が良いものだし、愛着が湧くものではあるんですが、実は長持ちしません。5年も経てばその人のサイズや嗜好、時代の流行が変わり古臭くなってしまう可能性が高いんです。その場合はジャケットやスラックスだけをオーダーすることも可能なので、ぜひ気軽にご相談いただきたいですね」

誰が見ても「カッコ良い!」と思えるものを

L’ECRINには『挑戦・喜び・カッコイイ』というモットーがある。今まで選ばなかった色・柄・スタイルへの“挑戦”、スーツが仕上がったときの“喜び”、そしていざ着た時にあふれる喜び+120%“カッコ良く”なるコーディネートを提案するという思いが込められたものだ。

「L’ECRINが作るスーツは着やすくて、その人の魅力が最大限に引き立つのはもちろんのことですが、第三者から見ても思わず『カッコ良い!』と惚れ惚れするようなものをお客様に提供できるようにと心掛けています」

長崎県随一の移動販売テーラーとして歩み始めておよそ10年。日本国内でもスーツをオーダーメイドで仕立てる店は数多くあるが、長年にわたりL’ECRINが選ばれ続けてきたのはスーツの品質の高さだけでなく、江頭さんの気さくな人柄に心をつかまれる人が数多くいるからだと、私たちくじらの髭はひしひしと感じる。

「正直に言えばもっと安くオーダーできるところもありますし、どこの店もつくる過程はだいたい一緒で、技術や知識は努力すればいくらでも身に付く。だからこそL’ECRINのマインドに共感してもらったり、『この人から買いたい』とお客様から思ってもらえるよう自身を磨いて、スーツだけでなくL’ECRIN全体が愛されるように頑張っていきたいです」

数多くの斬新な企画を次々と打ち出してきたL’ECRINだが、また新たにチャレンジしたいことがあるそうだ。

「古いスーツや遺品のスーツをリメイクできたらと考えています。生地は変えられないので、ボタンや細かいパーツを綺麗に抜き取って新たなスーツに付けてみたりとか。あとは貸衣装の方にももっと力を入れていきたいですね」

2022年2月に東彼杵町千綿宿郷にてオープンした『uminoわ』内にある『縫製場 わ』とのコラボレーションも計画中だそう。佐々町から日本各地へ、そして世界へと広がっていくL’ECRINの今後の展開から目を離さずにはいられない。

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店 名
L’ECRIN
所在地

長崎県北松浦郡佐々町須崎免506-18 田中ビル3階Google Map

営業時間
火曜~日曜
10:00~18:00(完全予約制)

※変更になる場合がございます。くわしくはお問い合わせください。

休業日
月曜

※変更になる場合がございます。くわしくはお問い合わせください。

お問合せ
TEL
0956-76-9512
E-mail
eto@lecrin-mens.com