日本三大珍味、肥前のからすみ。創業延宝三年、十四代目が継承する高野屋(長崎県産品取材編:長崎市)

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日本三大珍味、肥前のからすみ

越前のうに、三河のこのわたと並び、江戸時代から日本三大珍味のひとつに数えられる肥前のからすみ。古くはギリシャやエジプトなど地中海沿岸を起源として広まり、日本には承応年間(1650年代)に中国から伝来したといわれています。延宝3(1675)年に創業した「高野屋」はボラの卵巣で製造する〝長崎からすみ〟の元祖。昔ながらの手づくりにこだわり、極上の味わいを今も大切に守り続けています。

十四代目、高野屋の歴史

平賀源内に才能を見出された人気狂歌師の大田南畝(蜀山人)が長崎奉行所に赴任した頃のもので、県内には他にも諏訪神社などに残されています。「蜀山人がうちのお得意さんだったのか、献上品を分けていただいたのかはわかりませんが、江戸時代のもので、〝野母からすみ〟のことが書かれた封書が家宝としてあります」と高野社長。大田南畝(蜀山人)が自身の好物を食して絶賛し、お礼に書いたものだと教えていただきました。

高野屋の味を守ること

初代が考案した“野母からすみ”は、その製法を代々受け継がれて“長崎からすみ”に発展し、今も変わらず長崎を代表する珍味として名声を博しています。「うちは一子相伝でやってきました。初代の思いを次に引き継ぎ今があります。私もいずれは次男に引き継ぐつもりでいます」と高野社長は話します。写真は十三代目のお父様と撮影させていただきました。

“長崎からすみ”は浦上地区の工場で、多くの手間と時間を費やして丁寧に製造されています。原料となるボラの卵巣は塩漬けにされたものを仕入れ、こだわりの塩をさらに加えて1週間以上塩漬けにします。「日本では昭和40年代後半から塩が大きく変わりました。この塩では味に角が立つのと、塩漬けした時に固まって卵巣を傷つけてしまうなど作業性も落ちたため、現会長の判断で粉砕天日塩を使用しています。天然の海水100%の塩を使うことにより、高野屋の味を守ることができました」と高野社長。

今も頑なに続けている天日干し

塩漬けの後は1日かけて塩抜きをします。ひとつひとつ真水の中で塩抜きし、卵巣皮膜にある血管などの余分なものを取り除きます。ここが〝長崎からすみ〟の出来を左右するとても重要な作業です。塩を抜き過ぎると乾きが遅くなり味もよく出ず、塩の抜き方が少ないと辛くなってしまいます。 そして、いい塩梅になったところで、高野社長が「今も頑なに続けている」という天日干しに入ります。防虫ネットに囲まれた工場屋上には、木の台に置かれた板に大小さまざまな卵巣が並んでいます。色が統一していないのは、着色剤や発色剤などを一切使っていないためです。太陽の下、すべてに日光が行き渡るように並べて、朝から日没まで2時間ごとに、こまめに表と裏を入れ換える手間のかかる作業を行います。小さいもので1週間ほど、大きなものでは10日以上干します。 こうして完成した〝長崎からすみ〟は、美しい琥珀色で重厚な輝きをしています。「からすみは長崎の食文化であり、日本の食文化であります。それを守り伝えて、さらにつないでいくのが私たちの使命と思っています」。

高野社長のご紹介記事もご覧ください。

店 名
有限会社 髙野屋
所在地

長崎県長崎市築町1番16号Google Map

営業時間
平日土曜
9:00~19:00
日曜祝日
9:30~18:00

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休業日
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