南島原市の健康豚とは!?「芳寿牧場」病原菌を排除した豚SPF豚(長崎県産品取材編:南島原市)

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食の宝庫で見つけた希少なブランド豚肉「芳寿牧場」

山と海の自然を擁する南島原市は、豊かな食材にも恵まれています。さまざまな農畜産物や水産物、さらには島原手延そうめんなどの名物があり、“おいしい南島原”というのが本当にぴったり。そんな中で全国的に注目を集めるのが希少価値の高いブランド肉「芳寿(ほうじゅ)豚」。健康豚の証であるSPF豚の厳しい認定基準をクリアした豚肉は、安心・安全性もさることながらその味わいが評判です。「芳寿牧場」を訪ねると、衛生管理が徹底された環境で熱意のあるスタッフにより大切に育てられており、美味しさの秘密がわかりました。

身を粉にしてもへこたれない丈夫な体に感謝

平会長は昭和17年生まれ。中学を卒業後は実家の水稲や果樹園の手伝いをしていましたが、親の代わりに家計を支えることになると、割のいい林業に出稼ぎへ出ました。昼はチェンソーで木を切って、夜は三輪自動車で長崎の材木市場まで運ぶ日々。人の3倍ぐらいは働いて家族の命を繋ぎ、何とか3人のきょうだいを大学にまで行かせることができました。それでも借金は山ほど残り、36歳の時に資金繰りのために始めたのが養豚業でした。

健康な個体づくりから美味しいは生まれる

2020年4月、芳寿牧場の代表取締役社長に宮井宏泰(みやい ひろやす)さんが就任されました。宮井社長は香川県高松市出身で、広島大学大学院を卒業し、伊藤忠飼料株式会社に入社。「大学では家畜管理学研究室で家畜の行動について研究をしていました。そのおかげで、飼料の営業時には養豚場の中に入り、問題点を見つけて、改善の提案をすることに役に立ちました」と宮井社長。その営業先で、平会長と運命的な出会いを果たします。

県内有数の事業規模を誇り、約1万7000頭の豚を管理するトップとなった宮井さんですが、平会長と同様に気さくに対応してくださり、人と会ってお話をするのが好きというのがよくわかりました。研究者からみた「芳寿豚」の美味しさは何なのでしょうか。「豚を健康に育てることができれば、体に蓄えられる美味しい成分が多く残ります。だから食べても美味しくなります。例えば、中鎖脂肪酸は美味しさを左右する成分の1つで、食べた時の食感に影響します。中鎖脂肪酸の溶ける温度(上昇融点)が人間の体温に似通っており、口の中で溶けることで美味しいを演出します。健康に育った豚は、それを多く蓄積しているから美味しくなるんです」と教えていただきました。

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