食の宝庫で見つけた希少なブランド「芳寿牧場」長崎県南島原市で育った健康豚とは!?(長崎県産品取材編 : 南島原市)

食の宝庫で見つけた希少なブランド豚肉「芳寿牧場」

山と海の自然を擁する南島原市は、豊かな食材にも恵まれています。さまざまな農畜産物や水産物、さらには島原手延そうめんなどの名物があり、〝おいしい南島原〟というのが本当にぴったり。そんな中で全国的に注目を集めるのが希少価値の高いブランド肉「芳寿(ほうじゅ)豚」。健康豚の証であるSPF豚の厳しい認定基準をクリアした豚肉は、安心・安全性もさることながらその味わいが評判です。「芳寿牧場」を訪ねると、衛生管理が徹底された環境で熱意のあるスタッフにより大切に育てられており、美味しさの秘密がわかりました。

島原半島の豊かな自然が美味しいを育む

雲仙温泉とイルカウォッチングで知られる南島原市口之津を結ぶ国道389号線から、少し上った山中に「芳寿牧場」はありました。市街地を望む高台は空気が美味しく、私が勝手に想像していた養豚場のにおいが気にならないことにも驚かされます。お話を伺いたく事務所を訪ねると、平 芳絋(たいら よしひろ)会長に優しく出迎えていただきました。

身を粉にしてもへこたれない丈夫な体に感謝

平会長は昭和17年生まれ。中学を卒業後は実家の水稲や果樹園の手伝いをしていましたが、親の代わりに家計を支えることになると、割のいい林業に出稼ぎへ出ました。昼はチェンソーで木を切って、夜は三輪自動車で長崎の材木市場まで運ぶ日々。人の3倍ぐらいは働いて家族の命を繋ぎ、何とか3人のきょうだいを大学にまで行かせることができました。それでも借金は山ほど残り、36歳の時に資金繰りのために始めたのが養豚業でした。

ひとについての詳細は以下の記事をご覧ください。
希少なブランド「芳寿牧場」健康豚の生みの親 平芳絋(たいら よしひろ)さん (長崎県産品取材編 : 南島原市)

衝撃的な健康豚の飼育システム「SPF豚」

当時の養豚業は小面積による多頭飼育で利益を上げることが普及されていました。太く大きく育てるには薬剤や抗生剤などの投与は不可欠でした。駆け出しだった平会長もこれに倣うより他はありませんでしたが、常に疑問を抱いていたそうです。「こがんと消費者に食わせてどがんすんとかと思いながらも、私たちも生活せにゃいかんから」とジレンマに陥りました。そんな折、飼料会社の営業マンからSPF豚の存在を聞きました。SPFとはSpecific Pathogen Freeの略で、SPF豚は豚の発育を邪魔する特定の病原菌を排除した豚をいいます。わかりやく言えば、健康な豚を飼育するシステムであり、薬品を使わなくても順調に太り、しかも豚の特性を生かした味が出るというもの。それは養豚の常識を覆す革命的な話でした。

リピート確実のひと味違う豚肉の美味しさ

SPF豚は全国の豚肉生産量の中では数パーセントという希少な豚肉。消費者の認知度はまだまだ高いとは言えない中、「芳寿豚」はテレビや新聞に取り上げられる機会が増え、平会長も積極的に普及に努めました。現在は豚肉の生食は禁止されていますが、「芳寿豚」は刺身やたたきでも食べられるほど安心・安全性が売り。また、豚肉独特の臭みは全く感じられなく、ジューシーでやわらかく、今まで苦手だったという子どもがペロッとたいらげることも。「好みがあるから美味しい・美味しくないは別として、ひと味違うと贔屓にしてくれるお客さんがたくさんいらっしゃいます。自信を持って送り出しているものが評価されるのはありがたいことです」

営業担当が社長へ

2020年4月、「芳寿牧場」の代表取締役社長に宮井宏泰(みやい ひろやす)さんが就任されました。宮井社長は香川県高松市出身で、広島大学大学院を卒業し、伊藤忠飼料株式会社に入社。「大学では家畜管理学研究室で家畜の行動について研究をしていました。そのおかげで、飼料の営業時には養豚場の中に入り、問題点を見つけて、改善の提案をすることに役に立ちました」と宮井社長。その営業先で、平会長と運命的な出会いを果たします。

健康な個体づくりから美味しいは生まれる

県内有数の事業規模を誇り、約1万7000頭の豚を管理するトップとなった宮井さんですが、平会長と同様に気さくに対応してくださり、人と会ってお話をするのが好きというのがよくわかりました。研究者からみた「芳寿豚」の美味しさは何なのでしょうか。「豚を健康に育てることができれば、体に蓄えられる美味しい成分が多く残ります。だから食べても美味しくなります。例えば、中鎖脂肪酸は美味しさを左右する成分の1つで、食べた時の食感に影響します。中鎖脂肪酸の溶ける温度(上昇融点)が人間の体温に似通っており、口の中で溶けることで美味しいを演出します。健康に育った豚は、それを多く蓄積しているから美味しくなるんです」と教えていただきました。

何事にもとことん愛情を持って接すること

昭和53年に平会長が立ち上げた養豚業は、SPF豚の導入により大きな転換を遂げました。「裏で秘密の管理があるんじゃろとか疑われることも(笑)。何も違ったことはしていない。全てのスタッフが豚さんに愛情を注ぐだけ。愛情だけですよ。豚さんが何を考えて、何をしてもらいたいか行動を見とって、それに対応できる人間がうちのスタッフですよ」と平会長は話します。衛生的な環境でSPF豚の管理システムのもと、スタッフによるたくさんの愛情によって健康な豚が育ちます。それに日本SPF豚協会のお墨付きをもらうことでブランドの価値を高めています。「このすばらしい食材をできるだけ長く、消費者に届けたい」というのが創業者の思い。 気心しれた宮井社長の就任もそうですが、3年前にはお孫さんが働きたいと入社してくれたこともうれしいニュースです。熱い思いは確実に紡がれていきます。

芳寿牧場で働く、平会長のお孫さん 野田香実(のだこうみ)さん

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希少なブランド「芳寿牧場」健康豚の生みの親 平芳絋(たいら よしひろ)さん (長崎県産品取材編 : 南島原市)

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異例の経歴 希少なブランド「芳寿牧場」代表取締役社長 宮井宏泰(みやい ひろやす)さん (長崎県産品取材編 : 南島原市)

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南島原市の健康豚とは!?「芳寿牧場」病原菌を排除した豚SPF豚(長崎県産品取材編 : 南島原市)

写真 : 川崎 順平
記事 : 飯塚将次
編集 : 森 一峻

店 名
有限会社 芳寿牧場
所在地
長崎県南島原市南有馬町792
お問合せ
TEL
0957-86-3359

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