“酵素-R”で生活と社会問題をクリーンにする『酵素マニア』の活動とは。

取材

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『酵素-R』は福岡県の環境コンサルティング企業『株式会社アール(以下アール)』が製造する天然成分100%の消臭剤である。ラインナップは用途に合わせて希釈して使うポンプ状の原液タイプと、希釈せずにそのまま使えるスプレー状のクリアタイプの2種類だ。

主な成分である酵素の“活きている”力が匂いの元を分解することで、衣服に付着した汗の匂いや住居の生活臭、たばこ臭、ペット臭などの気になる匂いはもちろん、肌にも直接のせて使用できるためワキや足裏の匂いにも消臭効果を発揮する。

また酵素-Rの力は消臭だけに留まらない。洗濯の際に使用すれば洗剤の洗浄力がアップするため繊維に染み込んだ頑固汚れが落ちやすくなり、部屋干し臭の抑制効果も。そしてなかなか掃除できない洗濯槽の汚れの除去も期待できる。

それに加えトイレやキッチンのシンク掃除に使用することでヌメリ防止や消臭効果が期待できるほか、入浴時に浴槽のお湯に加えれば蓄積した皮脂汚れが落ちて肌の状態がきれいに整っていくなど、嬉しい効果がたくさん。一家に1本でも2本でも3本でも、手元に持っておけば間違いなく生活が豊かになる逸品だ。

環境を破壊している現状を変えたい
西邦化学産業株式会社・梶原彰人さん(左)と株式会社アール・中村宏徳さん(右)

酵素-Rのブランディングや販売を手掛けているのは久留米市にある『西邦化学産業株式会社(以下西邦化学産業)』である。西邦化学産業は繊維加工用の顔料や染料、衛生用品、産業用プリンター、広告宣伝用のノベルティ商品など幅広いジャンルの商品を全国展開している企業だ。

酵素-Rはアールの代表取締役である片山繁隆氏が『Type-R』の名で開発したものであり、先述のように工場や施設などの環境改善サービスの一環として使用されてきた。そのため一般向けの販売は行っておらず、特にPR活動も行ってはいない。そんな酵素-Rは西邦化学産業の梶原彰人さんの熱意によって、販売へ至ることとなる。

ことの始まりは、梶原さんがとある取引先の工場に行った時のこと。その工場には稼働中に出てしまった廃液がいっぱいに詰まったビンが並んでいるのを見かけた。梶原さんが「この液はどうするんですか」と尋ねたところ「台風とか大雨の日に一斉に川に流す」とまさかの返答があった。

こういった廃液はかなり毒性が強く、鳥や虫たちが間違って一口飲めばバタンと即死するほど。また、匂いがとてつもなくくさい。工場の近くには田んぼもあり、梶原さんは川に流してしまえば魚や田んぼに相当な害を及ぼすことを伝えたが、先方は「どうしようもない。下水に流すと市役所が来るから」と取り合ってはもらえなかった。

大企業であればpH調整などを施し下水に流せるようにして廃液を処分しているが、かなりの費用が掛かってしまう。そのため小規模企業や個人がやっている工房では周囲の環境を破壊していることを分かっていながらも、川に流して処分しなければならないのが現状だった。

梶原さん「それを何とかできないかなって色々探してるうちに排水が肥料になるんじゃないかっていうところに行きついて、とりあえず下に溜まる沈殿物はどうにかできると。じゃあ上澄みの水分をどうするかってことで色々調べてたら、アールにぶち当たったわけ」

そこで梶原さんはアールの中村宏徳さんに相談することに。すると中村さんは「簡単に出来ますよ」と排水に酵素-Rを入れて実演してくれた。排水が無害なものになり、くさい匂いまで取れてしまう結果を目の当たりにした梶原さんは「面白いからぜひ販売したい」と中村さんに提案。しかしアールは代理店は持たないとのことで、答えは“NO”だった。

しかし梶原さんは「すごく面白いものだし、全部メイドインジャパンでもあるし、自然のものから作ってる良い商品だからぜひ扱わせてほしい」と何度も何度も頼み込んだ。そしておよそ2年にわたる交渉の末、2021年から西邦化学産業での販売が決まった。

中村さん「これまでにも代理店とか販売店になりたいって言ってきたところはあるんですが、全部断ってます。皆さん最初の頃は販売に挑戦しても誰も売れないんですよ。これまでは酵素-Rと環境コンサルの提案と私の説明があって初めてお客さんが使ってくれてただけで。それを梶原さんは初めて自分で使って試して自分で売りたいって熱意をもって決めてくださった方なので、ぜひ付き合っていこうと」

『酵素マニア』立ち上げ

それから梶原さんは中村さんと協力し、西邦化学産業内に『酵素マニア事業部』を立ち上げた。これまで業者向けのものしかなかった酵素-Rのパンフレットを一般向けに新たに作り、特設webページも開設。可愛らしいイラストや写真を散りばめて酵素-Rの使い方を分かりやすく解説している。

また酵素マニアのオンラインショップも設立しており、そちらでは2タイプの酵素-Rの他に土壌改善や作物の生育を促進する『酵素-Rマッ土』や『グリーンソイル』、猫のトイレの砂に混ぜて使う『酵素-R CAT Do!』も販売中。今後もラインナップが増える予定だ。

そして中村さんと梶原さんが協力して行っているのが、新たな酵素-Rの使用法の研究である。「生活の全てに取り入れてみる」ことをテーマに取り組んでおり、現在はなんとお酒への活用を模索中だ。

酵素-Rの成分は全て天然素材で無害であるため、体内に取り込んでも問題はない。グラス1杯のお酒に酵素-Rを1〜2滴ほど垂らせば、とがった角を感じる安いお酒でも熟成したようなまろやかさに変わり、まるで高級酒さながらの風味になる。おすすめは赤ワイン・ウイスキー・焼酎だそう。

梶原さん「酵素-Rを入れると何年もかけて熟成した風味を感じるようになるんです。だからボジョレー・ヌーヴォーといった新酒でも熟成したワインのような味になるし、コンビニに売ってる安いワインでも高級フランスワインのような香りをスーッと感じる。びっくりするよ、ホント」

実は取材当時、なぜ酵素-Rを入れるとお酒がまろやか風味に変わるのか分かっていなかった。しかしさらなる研究を重ね、2023年のはじめ頃にはその仕組みがほぼ解明されたという。

酵素-Rに光が当たった

一般向けの販売の販売にあたり、『酵素マニア』HPの開設やPR活動、消費者が思わず手に取りやすくなるボトルデザインなど様々なことが一新されてきた酵素-R。これまでアールでは出来なかったことをしてもらえていると中村さんは語る。

中村さん「酵素-Rは環境改善計画の一部でしかなかった商品なので、元々のボトルは大きな醤油瓶みたいなものだしPR自体にも興味がなかったんですよ。でも梶原さんが酵素-Rに光をあてる活動を始めて、これまで僕らがやってきた仕事をいかにブランディングしていくかを考えてくださっているので、すごく助かってます。うちで出来ることは限られるから難しいところもあるんですけど、梶原さんを応援してます。だって梶原さんのことが好きだからですね(笑)」

そして酵素マニアとして各地への普及活動に奮闘している梶原さんは、酵素-Rがやがて社会に立ちはだかる様々な問題の解決につながっていくのではないかと語った。

梶原さん「自分がどこまで出来るかは分からんばってん、一次産業の活性化と労力に見合った対価を取れるようにしたいとです。休耕地や過疎化が進む村や町が各地で増えているなかで、水産・畜産のリクルート問題や二酸化炭素問題の対策として注目されているブルーカーボンなどにおいて、微生物を使った整菌という考え方と酵素の組み合わせは限りない可能性を持っています。どげん足を運んでも、大きな組織や不条理な力関係が立ちはだかりますし、生物にとって悪いものや食べ物に入ってはいけない成分が当たり前のように流通しています。酵素-Rのようにメイドインジャパンの商品で、素手で触っても口や目に入れても安全なもので、水・土・酸素が本来の姿に戻れることを願っています。地域を愛する方々や地域貢献を考える企業の皆さんに、研究者集団の株式会社アールとわたくし梶原のお話をぜひ聞いていただけたらと思います」

このようなストーリーを繰り広げている酵素-Rは、2023年初頭から私たちくじらの髭の店舗にて販売される。くじらの髭オリジナルのラベルが並ぶので、気になる方はぜひご来店を。