“肥前のおへそ”からあらゆる不動産をご紹介。 包み隠さず、とにかく情報満載です。

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東彼杵郡波佐見町の建設会社「アサダ建設」の浅田夫妻

例えば、社会問題となっている空き家をうまく活用して、古き良きものを残しながら現代のライフスタイルと調和させて自分の望む家づくりをしたり、新しいコンセプトのお店を立ち上げたりする。例えば、使わずに放置してある山や農地を誰かに使ってもらいたい人と使いたい人とを繋ぐ。

波佐見町の建設会社「アサダ建設」の不動産部門「あるある不動産」が、そんな魅力的な事業をウェブサイトを活用することで展開を広げている。業務を受け持っているのは、浅田勝也(以下勝也)、ナルミ(以下ナルミ)ご夫妻だ。

空き家を活用したい売り手も買い手も必見
Oheso Journal(オヘソ ジャーナル)

あるある不動産のウェブサイト事業「Oheso Journal」(オヘソジャーナル)」は、2017年に誕生した。

勝也「不動産部門の『あるある不動産』を立ち上げた当時は、自社のウェブサイトというのがなくて、大手不動産のat homeだったりSUUMOといったサイトを利用して紹介していました。ですが、そう言ったサイトに頼らずに、自分たちが考える仕組みで情報を出したいと考えていたんです。そうして、構想を練って4年くらい前に自社オリジナルのサイトを立ち上げました。基本的なコンテンツとしては不動産情報がメインになります」

このウェブサイトの名前である「オヘソ」とは、どういう意味があるのだろうか。

ナルミ「アサダ建設のある場所が、昔でいう肥前の国のちょうど真ん中あたりにあるんです。そういった、肥前の中心にある建設会社として、そこから何か発信していければなと思ってそういう名前にしました」

勝也「自分たちには肥前の真ん中に位置するという感覚があんまりなかったんですが、周りから見たらそういう中心地でもあるんだということを認識しました。……そういう風に公には言っていますが、実際のところはオヘソジャーナルという提案があった時期に、ちょうど3人めの子どもが産まれたんです。そのときに、不動産と売買したい人との関係って、ちょうど、へその緒というか、そんな結びつきの元で成り立ってるんじゃないかなと思って。言ってしまえば、不動産取引というのは貸主と借主、または売主と買主の間にスムーズにいくような潤滑油が必要で、その役割を担うのが不動産や宅建業者で。個人間で話をしてしまうと、トラブルがあったり話が合わなくなったり、上手くいくはずだったものが上手くいかなくなることがあったりするんですよ。それで、宅建業者が貸主借主、売主買主の中間に入って母体から子供に栄養を届けるへその緒となる役割を担うので、不動産業はよく考えたら『おへそ』だなと」

名前の通り、肥前のおへそに位置するあるある不動産が、へその緒を担うサイトを作り上げた。それは、依頼での来客も、そうでない人も。空き家を活用したい買い手も、売り手も満足のいく情報が詰め込まれている。

勝也「空き家を持っている方とか、活用したいなという方がいらっしゃれば、このオヘソジャーナルにご相談いただければ丁寧に紹介できます。空き家って昔住んでいた思い出があったりするものです。紹介の仕方は各不動産会社によって色々と異なるのでしょうが、私どもとしては最終的に前に住んでいた方の思い出の場所だったということを丁寧に汲み取りつつ、それを誰か活用したい人に引き継いでもらえるように紹介してあげたい」

ナルミ「サイト下部にあるレコメンドで、実際にリノベーションした事例が見られます。空き家って汚そうとか敬遠されるお客さんが結構多いと思うんですが、リノベーションしだいでは空き家にしかできないおしゃれな空間にできるので、オススメだったりもします。こういう事例を紹介することによって、空き家って良いなと考えを改めてくれるお客さんが増えれば良いなと思っています」

勝也「都会では、できるだけ駅近の物件が求められたりするんですが、田舎には、逆に駅近ではない少し離れた場所にある物件の方が逆に魅力があったりするんですよね。それぞれのニーズやライフスタイルに合わせて、このサイトを活用してもらえれば嬉しいですね」

実際にサイトを通して売買契約が成立し、空き家はリノベーションを経て風合いを活かしたお洒落な家やカフェ、レストランへと変身を遂げていく。思い入れのある事例を聞いてみたところ、川棚町の片島にある松隈さんご夫妻が営む「BUCO café(ブーコカフェ)」だと言う。

こちらが、ビフォーの状態。前の居住者もカフェを経営しており、居抜き物件ということでオヘソジャーナルで掲載した。実際に当時の紹介ページを見てみると、360度写真なども巧みに使い、いかに丁寧に紹介してあるかがわかる。

そして、こちらがアフターの状態。つまり、現在松隈夫妻が営業をしている「BUCO café」だ。オレンジ色の瓦屋根や煙突部は上手く残しつつ、外壁をサックスブルーにすることで、可愛らしい色調の外観へと変貌。内観もこだわりのある作りや家具を設置し、南カリフォルニアを想起するようなアメリカンスタイルへと生まれ変わっている。

窓からは大村湾と大崎半島を一望できる贅沢なロケーション。片島に位置しているからこそ手に入れられる景色だ。ランチやコーヒーを食べながら、景色を眺め、本を読む。いつまででも居られる心地よい空間になっている。見事に空き家を人気スポットへと新しく生まれ変わらせた事例である。

活用したい人に快く生活してもらうために。
空き家を語るには、まずは自分が勉強する

『空き家』と聞くと「汚れや傷が多そう」、「老朽化がしていそう」と考える人は多いだろう。だが、良い具合に色褪せるからこそ魅せてくれる表情が古い建物にはある。それは、歴史を刻んだものの一つの価値として評価でき、うまく活用することで環境にも配慮できる。所有者は管理の手間が省け、建物や土地を長持ちさせることができる。空き家問題への解決の糸口になり、新しい人が住み、営むことで町の活性化にも繋がっていく。空き家の活用は、様々なメリットをもたらす。

空き家を活用するという事業に携わるきっかけはなんだったのだろうか。

勝也『カリアゲJAPAN』という、空き家を活用して転貸しようという全国規模のグループがあって、自分たちも空き家をどうにかしたいという想いはありつつも、そういった空き家活用の知識がなかったので、そのグループに加盟して勉強させてもらったのがきっかけです。たまたま、長崎地区の借り上げメンバーになり、カリアゲ長崎という感じで立ち上げさせてもらいました」

建設、不動産を生業にしてきたとはいえ、空き家を活用するには専門知識が必要となる。説得力のある言葉で人に説明できるように、まずは自分が動いた。

勝也「空き家を語るには、ちゃんと勉強しないといけないなと。専門知識を身につけないといけないので、グループに入って勉強会に参加したり情報共有を行なったり。そこで、いろんな会社の人と出会うことができました」

物件だけじゃなく、山、畑、廃墟。
売りたい人と買いたい人を繋げる。

オヘソジャーナルに続き、新しく始めたウェブサイト事業が『ホリダシモノ』だ。

勝也「今まで空き家とか宅地建物の不動産紹介をしていましたが、今度は使われていない山や農地を紹介しようと。それで、掘り出し物という意味でこのウェブサイトを立ち上げました。空き家と一緒で、有休地や農地など貸したいという情報はあったんですが、物件化できるようなサイトが存在していなかった。オヘソジャーナルでも山などは紹介できないですし、SUUMOとかat homeとかでも紹介しづらかったんで。だったら、管理できない山とか紹介できるようなサイトを立ち上げて、例えばメルカリで物を売り買いするように、不動産も『ホリダシモノ』サイト上で売り買いしてもらえたら良いなと」

空き家だけでなく、農地や山までも取り扱う。過疎化の進む地方ならではの問題を近年の多様化したライフスタイルの変化で土地を求める人を引き合わせることで解決へと繋げるなんともユニークな試みだ。昨今は問い合わせも多いという。

勝也『ホリダシモノ』は西日本新聞でも取り上げてもらえました。不動産屋なので、家だけでなく農地とか買う人はいないかという相談もあるんですが、そうして、これまで依頼されていた案件をこのサイトで公開したという流れです。これは、あくまでお客さんがセルフで自由に投稿できるサービスになっています。オヘソジャーナルとは違って依頼主自身が文章を書くことができます。まだこのサイトがない時に、相談に来た廃墟の持ち主がいましたが、このサイトを立ち上げて掲載したら、この間売買契約が無事に成立しました」

掘り出し物を掘り起こし、その活用を通じて町の可能性を拓いていく。長崎には、さまざまな観光資源がある。山や森や畑、青空と海の見える風景を身近に感じ、都会では得難い体験ができる。だからこそ、使われていない掘り出し物には何かしらの活用方法があるだろう。あるある不動産が新たに挑戦するプロジェクトの可能性は無限大だ。

細川小春 Koharu Hosokawa | Challenge of people in Oheso | オヘソジャーナル

くじらの髭でもモデルで登場してくれている細川小春さん。

~あるある不動産のWEBサイト~

オヘソジャーナルの“Challenge of people in Oheso”で夢へ向かって突き進む小春さんの生い立ちや仕事に対する思いを綴られています。

Ohesojournal(オヘソジャーナル)
中古住宅や売地の不動産情報を詳細かつ魅力的に掲載している、あるある不動産自慢のWEBサイト。

ホリダシモノ
山林や農地や廃屋など、使われなくなった不動産を掲載する、動き出した新サービスWEBサイト。

ひと・みせについての詳細は以下のそれぞれの記事をご覧ください。