プロジェクトで「CHANOKO」が生まれた「ものがたり」と、東彼杵新名物「くじら焼」を通してはじまるストーリー
九州電力株式会社との協業。誰しも電力供給や電力を通したプロジェクトを想像するものだ。案の定、たくさんの方に、電気をどう活用してプロジェクトを進めていくのかといった質問を投げかけられた。そんな、協業先の九州電力には九州全域の電力を支える、その蔭に地域振興を専門とする珍しい部署がある。それが九州電力 地域共生本部 地域振興グループだ。2019年から同部署で始動した「Qでん にぎわい創業プロジェクト」。今回が九州で初となる協業のため、必然と第一号の事例となる。2019年12月に事業検討を開始し、約1年をかけて事業化が決定した当社団法人東彼杵ひとこともの公社と九州電力とのプロジェクト。このプロジェクトで「CHANOKO」が生まれた「ものがたり」と、これから東彼杵新名物「くじら焼」がはじまるストーリーをお伝えします。
約1年をかけ、九州電力 地域共生本部の照山太一さんを中心に、地域の皆さんと一緒に「そのぎ茶」と一緒に楽しめる東彼杵の名物を作ろうということになりじっくりと進めてきたこのプロジェクト。お茶をもっと飲んでもらうには、お茶が飲みたくなるものを作ること、そうだ、やっぱりあんこでしょ〜!という言葉から始まり、くじらの形をしたたい焼がアイデアとして出てきたのでした。
当時はまだコロナウイルスの感染拡大前ではあったものの、東彼杵のものを外で売ってくること、Sorrisorisoや千綿駅などの拠点以外の人を呼びこみたい場所での、客寄せパンダならぬ客寄せクジラとして各地に赴けるよう、検討初期からフードトラックによる移動販売という案が出ていました。
九州電力 地域共生本部の照山太一さんがマンガ化に!?
構想から約1年。事業開始までご尽力いただいた照山さんに、東彼杵での、この1年を振り返っていただきました。
照山「 東彼杵ひとこともの公社の森さんを中心に地域の方々が主体となり、求心力の高い地域づくりを進められてきた動きに、心から共感し、これまで一年間、町内外のいろいろな方とお話しながら、進めてきました。時には夜な夜な延々と森さんとLINEで議論したこともあれば、時にはsorriso risoの薪ストーブの煙突を掃除することもあったりと、バディである森さんに付きまとうかのように、1年間、時間を共にさせていただきました。」
照山さんは毎週のように東彼杵に通ってくださり、いつの間にかSorriso risoによくいる常連メンバーに仲間入り。当初はスーツでかしこまってお見えになられていらっしゃいましたが、後半はすっかりとホームタウンに帰ってこられたかのような自然な佇まいで、東彼杵の一員として、九州電力との間を取り持ちながら、事業を進めてくださいました。時には東彼杵に移住したの?と声かけれている姿もしばしば。
照山「 私自身かなり想いを込めて取り組んできた「くじら焼」。この「CHANOKO」ブランドを自分の家族のように大切に感じながら、事業開始の準備を進めてきました。LittleLeoシェフの宮副さんや「帆屋」として東彼杵でもパン教室を行われている前田帆奈己さんといった飲食のプロの方をはじめ、地域の皆さまからアドバイスをいただきながら検討していく中でどんどんのめり込み、「くじら焼」を自宅で何度も試作して家族に食べてもらったり、自分が移動販売の店長になるのでは?というくらい、ガッツリ前のめりで進めてきました。」
Sorrisorisoで試作会を重ねるたびに、焼く技術が上達していった照山さん。はじめた当初は焦がしてしまっていたのが懐かしいくらいですが、今では、くじら焼を焼く手つきが本物になってきました。こうして事業化検討の結果、九州電力内部で事業性の評価がなされ事業化が決定しました。
くじら焼の舞台となる「CHANOKO」号がいよいよ納車
2021年1月中旬、事業化検討や試作を繰り返す中、同時に舞台となるCHANOKO号が納車されました。施工してくださったのは福岡県柳川市にあるミナトオートモービルの松本透さんだ。松本さんはお客様に合わせたオリジナルのデザインやカスタマイズを実現されてきた。それは、本業としての自動車整備/販売に加え、キッチンカーでの営業もされてきた実績があるからこそで、お客様のご予算に合わせたキッチンカー(移動販売車)の制作・リース・レンタルをされています。
SorrisorisoにCHANOKO号が納車されると同時に、ガス台も到着していたのですが、右も左もわからない私たち。ケータリング経験のある松本さんは、納車ついでにガス台の使い方や火入れ方法、そしてくじら焼の生地へのアドバイスや焼き方なども優しく教えてくださいました。
CHANOKO号に新メンバー現る!
2020年も年が暮れる頃、ここで新たなメンバーがあらわれることに。東彼杵町、千綿での九州電力さんとの協業による新プロジェクトの新メンバーを募集いたします!と打ち出した新メンバー募集に13名の応募があり、その中から選考されたのは、長崎市出身の元パティシエで、当時、福岡の日本茶カフェの店長をしていた中村雅史さん。のちに「CHANOKO」の店長となるとは本人もまだつゆしらず。
あっという間の1ヶ月、「CHANOKO」店長、中村雅史さんに話を聞いてみた。
中村「2020年末、ふらりと東彼杵へ立ち寄ったのが、全てのきっかけでした。当時、日本茶カフェで店長をしていたのですが、すっかりお茶に魅了されていました。しかし、担当していた店舗の閉店が決まっていて、これから、どう身を振るか悩んでいる状態でした。」(現在、中村雅史さんは、東彼杵町への移住のタイミングと合わせるかのように、日本茶インストラクターの資格を取得)
はじめて訪れたという東彼杵で、彼は運命を感じたかのように、東彼杵での暮らしを想像したという。
中村「故郷である長崎の中でも、お茶処として有名な東彼杵。リフレッシュも兼ねて訪れた、この街で、色々と衝撃を受けました。昔ながらの街並みと、新しい「もの」や「こと」を作っていこうとする街の人たちと、古いものと新しいものがしっかりと支え合い、共存して、発展していこうという気持ちを感じました。なんとなく、あぁ、ここで働いたり、住んだりするのもよさそうだなと思ったのを覚えています。」
このわずか数日後、まさに運命とも思える「CHANOKO」のスタッフ募集がはじまった。
中村「Instagramで、Sorrisorisoをフォローしていたのですが、ふいに「CHANOKO」に関わるスタッフ募集の投稿を見てビックリし、気づけば、即座に応募していました。そこからここまで、東彼杵に引き寄せられるかのようにトントン拍子に話が進み、あっという間の2か月でした。森さん、照山さんに引っ越しのお手伝いまでしてもらい、2月中旬には東彼杵町へ移住。この町に関わる皆さんにあたたかく迎えていただいて、今、毎日が濃密な日々です。」
こうして福岡から「CHANOKO」の店長になるべくして移住してきた中村くん。それを照山さんは複雑な心境を密かに抱いていたそうです。
照山「くじら焼がようやく形になった! と思ったとき、「CHANOKO」店長の中村くんが中村くんの採用が決定しました。中村くんは、「CHANOKO」の店長として、これ以上、相応しい人材はいない!と断言できるほどの存在。彼が移住してくる前から彼と一緒に、くじら焼の準備に勤しみ、時には「くじら焼」に餡を入れる道具の使い方を教えたり、店舗でのオペレーションを考えて車内の什器を買い出しに行ってDIYしたりと、まるで私の弟のような彼に全部引き継いできました。」
見た目でも兄弟のような二人。あまねく看板工房の西浦さんが内外装を仕上げてくださった「CHANOKO」号で、二人がくじら焼の焼き方をあーでもないこーでもないと、試行錯誤している風景は微笑ましい光景にも思えました。
照山「こうやって事業を引き継いでいく過程では、彼の店長としての適性に対する嫉妬と、これまで進めてきた事業を引き継ぐ喪失感に、どこかわずかな寂しさを感じることもありました。しかし、いよいよ、彼が「CHANOKO」号で泳ぎ立つ時がきました!移動販売は彼にとって初めての仕事。はじめのうちはお客さまにご迷惑をおかけしてしまうこともあるかと思いますが、向上心の強い彼は、きっと更に大きく大きくなってくれることと思います!」
この照山さんの想いやエールを受けて、中村くんはこう意気込みます。
中村「私は最近加入しましたが、この「CHANOKO」プロジェクトには長い時間がかけられてここまで来ています。森さん、照山さん、そして東彼杵のみなさんが、この場所でやられてきたことを礎に、それがあったからこそ成せることなのではないかと思います。僕がこれから「CHANOKO」の店長として働けることは、今までの皆さんの努力の賜だと、とても感謝しています。くじらの髭HPやSNSでの皆さんの記事や情報を読むたびに、長年紡いでこられたことや想いに気が引き締まる一方で、それを私は大切にしていきたいと思います。これまでのこと、これからのこと、沢山の「こと」や「もの」を「CHANOKO」で様々な場所へお届けできたらと思っています。」
こうして兄から弟へと引き継がれたバトン。そのバトン「CHANOKO」が2021年3月1日から、いよいよ営業を開始します。
中村「慣れないことも、多々ありますが、皆さんに支えてもらいながら、色々学びつつ、頑張っていけたらと思います。CHANOKO号で、皆様にお会いできるのをたのしみにしています! よろしくお願いします。」
3月中はSorriso risoでの出店が多くなりますが、順次、回遊するくじらのごとく、各地へ赴きます。地域の皆さんと照山ー中村兄弟が紡いだ渾身の「くじら焼」をぜひご賞味ください!
CHANOKOのくじら最中はこちらから。